世界最大の船上書店「Logos Hope(ロゴス・ホープ)」が尖沙咀のハーバーシティ内の海運大廈(G/F., Ocean Terminal, Harbour City, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong、TEL 2118 6666)横のふ頭に停泊している。5000を超えるタイトルの本を安く購入できるほか、船内ツアー、1日クルー体験などのプログラムも用意されている。
同船はドイツの宣教団体Gute Bücher für Alle(GBA)が保有する船で、全長132.5メートル、幅21.06メートル、1万2519トンでデッキ数は9。1973年にフェリーとして建造され、2004年にGBAが購入し5年かけて改修。2009年に就航したGBAとして4つ目の船である。GBAは1970年から別の船を保有して活動しており、これまでに4艘(そう)合わせて160カ国・地域、1400港を訪れ、4200万人の客を迎えた。
船員は日本、韓国、メキシコ、パラグアイ、カメルーン、スイス、香港など45カ国・地域と世界中から集まっており、約400人全員が無給のボランティア。20~30代が中心で2年間、船で働く。船員はエンジニア、看護師、教師、調理師など専門の知識を持つ人が多いほか、大学生などは書店で働くなど、能力とスキルに応じた場所に振り分けられる。実際にボランティアとして働く前には乗船員として最低限必要なトレーニングも行われる。
寄港地には2週間ほど停泊し、書籍の販売のみならず、国によっては物資的な援助をするほか、寄港地の人とも触れ合う。同船でボランティアをしている日本人高石啓明さんは「大学を卒業してこの船で働いており、担当は書店。2015年9月にボランティアが終わるが、さまざまな人と交流できたことは人生で非常によい経験となった」と話す。
書店は約610平方メートルあり、小説、電気、料理、健康、スポーツ、哲学、児童書、辞書など5000以上のタイトルが並ぶ。英語の本が中心で、キリスト教系の団体が運営しているため聖書なども。世界各国の通貨が違うため、支払いはユニットという単位を採用。香港の場合は100ユニット=20香港ドル。ある書籍はイギリスのオリジナル価格が7ポンド(=85香港ドル)だったが、この書店では30ユニット(=60香港ドル)だった。
書店の奥にはカフェがあり、一息つきながら船員と話すことで文化交流も図ることができる。2014年に長崎に寄港したときは英会話カフェなども開催された。
船内ツアーも毎日開かれ、ブリッジ、ダイニングルーム、イベントステージなどを30分かけて回る。英語と広東語に対応。8月1日はインターナショナル・カルチャー・フェスティバルが行われ、クルーが音楽、民族パフォーマンスを披露するほか、世界を見聞してきた体験などを語る。両イベントとも料金は50香港ドル。8月5日・6日は一日クルー体験も開催される予定だ。
今回で香港は4回目の寄港となるが、同船のメディア担当者によると「今後の航行予定を勘案すると香港にはもう来ない可能性が高い」といい、今回がラストチャンスになりそうだ。
乗船可能時間は月曜・火曜=14時~21時30分。水曜~土曜=10時~21時30分。日曜=13時~21時30分。乗船料金は10香港ドル(12歳以下と65歳以上は無料)。8月9日まで。