東急モールズデベロップメント子会社の「東急商業發展(香港)」は12月10日、ハーバーシティ内に海外初の「SHIBUYA109」を開業する。場所はハーバーシティー内の3階(Shop 3002, Level3, Gateway Arcade, Harbour City, )で、総売り場面積約8400スクエアフィート(約240坪)に全13店舗が出店する。
同社は母体の東急グループのアジア展開である「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現を目指し、成長著しいアジア経済圏にも積極的に関わる動きの中で、香港での「SHIBUYA109」展開を海外で始動する。
出店にあたっては他の海外市場も入念に調査し、気候や規模などを考慮した上で香港への展開を決めた。同社はアジア各地域への進出を最終的な目標としているが、シンガポールであれば冬物の展開が難しく、デパート文化が残る台湾は「GAP」「H&M」などの大手ファストファッションの進出に沸く雰囲気がある中、法制度がしっかりと整い、税制が優遇された点が香港にアドバンテージをもたらし、香港を初出店の場所として選んだという。
フロアに東京・渋谷の商業施設「SHIBUYA109」の世界観をコンパクトな売り場に凝縮して表現するパッケージ型の出店方式は、各テナントに対してサブリースする形で成立させるため、「各メーカーが出店したい地域であること」も条件の一つだった。台湾での出店での上代価格は1.7~1.8倍が想定された中、為替変動によるところが大きいとはいえ、香港では平均1.3倍程度の上代価格が実現するという。今回の出店では、13テナントのうち10店が香港初出店。うち6店は海外初出店で、「固まりとして出て、渋谷をそのままもってくることに意味がある」(東急モールズデベロップメント)という。
「見て、買って、実際に渋谷に行く」というインバウンドにつなげたいという思いからも、「香港109」ではなく、「SHIBUYA109」の屋号をそのまま使う狙いがある。大規模な再開発事業を推進し、「渋谷の街を世界に誇れる街にする」という東急グループの目標の中で、「売り上げも大事だが、その先を考えている」と同社の坪内優さん。「香港に来て、海外での日本の見方に触れる日々の中で、韓流(はんりゅう)の力も強く、日本に全く興味がない層もいることを知った」と坪内さん。一方で「だからこそ『SHIBUYA109』を出店し、身近な存在に感じてもらうことで、日本がもっとできることのきっかけをつくりたい」と話す。
出店テナントは次の通り。「Ank Rouge(アンクルージュ)」「DURAS(デュラス)」「ESPERANZA(エスペランサ)」「KI LA RA GIRL(キララガール)」「LIZ LISA(リズリサ)」、「MULLER(ミューラー)」の香港での新ブランド「MLR(エムエルアール)」、「Rady(レディ)」「REDYAZEL(レディアゼル)」「Regalect(リガレクト)」「Samantha Vega(サマンサベガ)」「Secret Honey(シークレットハニー)」「SLY(スライ)」「WEGO TOKYO(ウィゴートーキョー)」。
同社は初年度売り上げ1億香港ドルを目指し、今後香港内に2~3店舗の出店を目指す。