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香港政府2017-18年度財政予算案発表 前年をほぼ踏襲、未来への投資重視

22日発表された香港の予算案

22日発表された香港の予算案

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 陳茂波(Paul Chan)財政長官は2月22日、2017-18年度財政予算案を発表した。

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 発表よると、歳入は5,077億香港ドル、歳出は4,914億香港ドルで163億香港ドルの財政黒字となった。財政備蓄は9,429億香港ドルという世界的に見ても非常に財政に余裕のある状態。

 歳出を分野別に見ると、前年同様インフラ整備が891億香港ドルと最も多く、続いて教育費に875億香港ドル、社会福祉に805億香港ドル、衛生対策に700香港ドル、保安に473億香港ドルなどとなった。

 「派糖」と呼ばれる一時的な経済振興対策、いわゆる「ばらまき」は前年の388億香港ドルから351億香港ドルで、前年より拠出が抑えられた。個人を対象にみると、所得税は前年と同じく上限を2万ドルとして予定納税額の75%が減免される。第4四半期に上限1,000香港ドルを上限として香港政府に支払う土地のレートが免除され、きょうだいの扶養控除が1人あたり3万7,500香港ドル、身がい者の扶養控除が同7万5,000香港ドル、高齢者、生活保護などの各種手当受給者はさらに1カ月分を追加支給する。

 法人では、こちらも前年同様に事業所得税が上限を2万ドルとして予定納税額の75%が減免される。飲食、小売および移動式屋台などの食品販売許可証による制限を受ける店舗(計2万7000店)と旅行会社(1800社)とホテルとゲストハウス(計2000軒)は1年間のライセンス費免除も前年と同じ政策だ。これは、曾俊華(John Tsang)前財政長官が3月に行われる行政長官選挙に出馬するため辞職し、新しく就任した陳財政長官には独自性を出す時間がなかったことも影響しているとみられる。

 ばらまきは抑えたが、未来への投資への支出は積極的で868億香港ドルの予算をつけた。人的資源を見ると、幼稚園など小学校に上がる前の児童対策に67億香港ドル、政府が指定する専門業界の学校に通う生徒に向けの学費援助資金には毎年8億5,000万香港ドルを拠出することを恒常化させるとした。土地資源では、2016-17年度から2020-21年度に公営住宅を9万4500戸供給するほか、2017-18年度は民間住宅向けを3万2000戸供給する。加えて、同年度内に香港内3カ所の土地を売却し17万2000平方メートル分のオフィススペースなどを創出する考えだ。

 梁振英行政長官の施政方針演説でも触れられたスポーツの振興に200億香港ドルを確保し、今後5年間に26項目の体育施設などを整備する。2017年は香港が中国に返還されて20周年ということもあり、中国本土5カ所と海外3カ所で香港のデザインについての展覧会を開催。北アメリカ、ヨーロッパ、アジア10都市で開催される映画祭で香港映画の特集を組んでもらうことも盛り込んだ。

 今回の財政予算案発表直後から大きな論争を生んでいるのが電気自動車(EV)で、これまで初回の登記税は全額控除されてきたが、本年度からは自家用EVのみを対象に1台あたりの減免額9万7,500香港ドルを上限とする。香港でEVが最も売れているのは高額のテスラ。高額のEVを買う財力に対し課税する香港政府の論理だが、EVの団体やテスラは反対や失望の声明を出した。一方で、トラック、バス、タクシーなどの商用車向けは全額控除を続ける。

 香港政府は2016年の国内総生産(GDP)は1.9%で、2017年は2~3%の成長率になると予想した。

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