キャセイパシフィック航空は3月1日、特別醸造のキャセイ専用地ビール「Betsy」を香港とイギリス線(ロンドンのヒースローとガトウィックおよびマンチェスターの3路線)のファーストクラスとビジネスクラスで提供すると発表した。
キャセイは「Life Well Travelled(充実した旅が人生を豊かにする)」という理念に基づき、ここ数年は有名レストランなどと共同開発した料理を提供するなど、機内食の質の充実を重視してきた。今回、高度約1万700メートルで提供する330ミリリットル瓶入りのクラフトビールを開発。アルコール度数は5.1%。気圧と高度の影響で乗客の味覚に影響を与えることも計算し、地上でも上空でも楽しめるような味にしたという。
製造・開発は、1995年創業の「Hong Kong Beer」。同社はビールの中でも特にエールの醸造に強みがあるほか、期間限定の商品を多数展開している。最近は香港国際空港の免税店で取り扱うほか、翠華餐庁(Tsui Wah Restaurant)など大手の茶餐庁などにも流通させている。
今回開発されたクラフトビールもエールタイプで、ファグルと呼ばれるホップを使い、香りを豊かにするため新界(New Territories)で生産された蜂蜜を入れているほか、香港でよく食べられる果物の龍眼を加えることでまろやかな口当たりに仕上げた。炭酸ガス、アロマなどを絶妙に配合することで喉越しも良いビールに仕上げているという。
「Betsy」と言う商品名はキャセイの1機目の航空機で1940~50年代に活躍したDC-3の愛称をそのまま付けた。現在も「香港科学館(Hong Kong Science Museum)」に展示されている。
イギリス路線だけでは飲む機会は限られるが、香港国際空港とヒースロー国際空港内にあるキャセイのラウンジ、●魚涌(Quarry Bay)にある「Mr. & Mrs. Fox」、金鐘(Admiralty)の「Café Grey Deluxe」と「The Continental」、太古(Taikoo)の「Sugar (Bar.Deck.Lounge)」でも提供する。ウェブサイトのデリ・ディライトでネット通販も行う(1本38香港ドル)。
同社のキャセイパシフィックのマーケティングおよびロイヤルティープログラム&CRM ゼネラルマネジャーのジュリアン・ライデンさんは「飛行中の機内で味覚に変化が生じることはよく知られており、航空各社は機内食に関わるこの課題にさまざまな方法で取り組んでいる。しかし、上空でのおいしいビールの味を追求する試みはこれまでなかった。そこで私たちは、これをビール好きの乗客の旅行体験をさらに充実させる絶好のチャンスと捉えた」と、ライバル航空会社と差別化を図る意図があったことを明らかにした。
同ビールの提供は4月30日まで。
●魚涌=●は魚へんに甬。