1989年に発生した「天安門事件」について紹介し、2016年7月に閉館した「六四記念館(June 4th Museum)」が4月30日から、期間限定で石硤尾(Shek Kip Mei)にある「賽馬会創意芸術中心(JCCAC)」(L205-208, 2/F., Jockey Club Creative Arts Centre, 30 Pak Tin Street, Shek Kip Mei, Kowloon, Hong Kong、TEL 2459 6489)に再オープンしている。
同館は、2012年に深水●(●=土へんに歩)で期間限定の企画展として開かれたのが始まり。期間中2万人近い人が訪れたことから、翌2013年に城市大学(City University)でも3カ月間にわたり展示を行った。2014年4月には尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の富好中心(Foo Hoo Centre)5階に常設の博物館がオープン。中国で唯一、天安門事件を扱う博物館として運営されてきた。
映像や写真、衣服、銃弾の跡があるヘルメット、新聞記事など当時の様子が分かる貴重な資料を豊富に展示し、香港をはじめ、事件を知らない中国本土の人々、外国人など2万人以上が訪れた。
同記念館を運営する香港市民支援愛国民主運動連合会(Hong Kong Alliance in Support of Patriotic Democratic Movement of China)の蔡耀昌(Richard Tsoi)副主席は「いろいろ物件を探し、今年1月ごろにここで展示を再開することを決めた。テーマや展示物、工事など2、3カ月の準備期間を経て、4月30日に再開することができた」と経緯を説明する。
「テーマは「『六四』關我?事(「六四」(事件)は俺となんの関係があるんだ)」。同事件について、「30代後半以下の世代は詳しく知らない人が多い。その人たちに事実を知ってほしい」と蔡副主席。700平方フィートと大きさに制限があり、同聯合会が所有しているもののわずか数パーセントしか展示できていないという理由もあり、詳しい内容ではなく、まずは知ってもらうことに主眼を置く。
展示はパネルを使って、時系列に事件を説明する。関連書物を自由に読むこともできるほか、ビデオ映像なども上映している。ハンガーストライキを起こした学生の写真、現地で寝泊まりしていたテントのレプリカ、民主派に理解を示した趙紫陽総書記のコメントなども展示して、分かりやすく解説する。
蔡副主席は「若者に知ってもらいたかったので、ビジュアル面を意識した」と話す。QRコードを館内に設置して、スマートフォンを掲げればより詳しく知ることができる工夫も。
現在も常設できる物件を探し中だが、工業ビルでは使用用途に制限がかかり、商業ビルはテナント料が高額で資金的な問題があり、適切な物件を見つけるのは大変だという。「天安門事件30周年にあたる2019年までには新しい博物館を開設したい」と話す。
開館時間は12時~19時。入場無料。6月15日まで。