MTR灣仔駅とショッピングエリアとして再開発された利東街(Lee Tung Avenue)が12月22日、約3年の工事を終えて直接連絡通路で結ばれた。新しいスポットとして注目される利東街だが、人の流れが増えることにより特に地下にある店舗への集客が期待される。
利東街は約200メートルの通りで、再開発される前は「印刷街」「喜帖街」の名で知られていた。その昔、香港の新聞社が社屋を構えていたほか印刷店などが集中していたため、冠婚葬祭用のレター、利是袋、カレンダーなどの「紙」製品を買い求める人が多かったためだ。しかし香港政府は灣仔南部の再開発をすることを決断。利東街沿いに住む住民の一部が「歴史的に意義ある通り」として再開発に反対する中、2005年11月6日に香港政府の所有に戻り、その後、利東街沿いにあったマンション、唐楼の取り壊し作業などが始まるため2010年2月25日に通りが閉鎖された。
香港政府は再開発の概要を定めており、香港の準大手デベロッパーの信和置業(Sino Land)と港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)の建設推進に当たり大きな役割を果たした合和実業(Hopewell Holdings)の2社が開発することになった。
利東街のショッピング街は、元の通りの形状をそのまま生かしているため、北から南を見た場合、少し斜め右に通りが曲がっているのが特徴。建物は地下1階、地上は3フロアまで商業用施設として使うことが可能で、延べ床面積約9万平方メートルの建物を建設した。各店の広さは100平方フィートから1万平方フィートまであり約70店舗分のスペースを確保。レストラン、カフェ、バー、アクセサリー、ネイルサロン、眼鏡店、バッグ店、印刷店など多彩な店が出店。「ヨックモック」「Ginza West」をはじめ日系企業も進出している。現在は客の約8割は中国からの観光客とされるが、緑も多く、15あるガス灯は19世紀を思い起こさせるデザインで香港中華煤氣(The Hong Kong and China Gas Company)の協力を仰いだ。住宅棟は「●匯(The Avenue)」と呼び、大きく4つに分かれ計1275戸分のマンションが造られ2015年12月に入居が始まった。
通りは華々しくオープンしたが、香港政府とデベロッパーは当初、「●歡里」など縁起が良い「●」を使った通り名にすると宣言。再開発後も「印刷、結婚などに関連する通りにする」と昔の利東通にあった印刷店を説得し立ち退いてもらった。ところが、利東街がオープンする数カ月前に「●歡里」を放棄すると突如表明。それは結婚、印刷などのコンセプトから全く離れた通りになってしまったが、デベロッパー側は印刷店などには具体的な説明を行わず、説明責任を果たさず最初のコンセプトとはかけ離れた通りになってしまったため、利東街に再出店した印刷店は不満を抱えるだけでなく、一部市民からも特徴のない通りと言われたことにも理由があるとされる。
今回開通した新連絡通路は「灣仔駅D出口」(Exit D)と付けられた。地下通路の長さは約100メートルで、香港市民に親しまれる「修頓遊樂場(Southorn Playground)」の下を掘り進め、利東街の地下に設置された店舗群を通り、エスカレーターを使って地上に出る。それまで、最も近かったA3出口の混雑は緩和され3分の1になると見込まれ、地下に店を出店しているある生花店は「月の売り上げが2割から3割増える」と予想している。
元々、皇后大道東(Queen’s Road East)や合和実業の本社ビルまでつなげることも考えられたが、合和実業の本社ビルの地下は駐車場やスーパーマーケット「Taste」が出店しているため、建設は不可能という判断が下されている。
●=喜喜