北海道発の冬季限定スイーツブランド「SNOWS(スノー)」が12月6日、香港尖沙咀駅直結のショッピングモール「K11Art Mall」のアトリウムにポップアップショップをオープンした。同ブランドは常設店を持たず、オンライン販売と北海道雪まつりをはじめとした各地でのポップアップショップで、「冬の季節だけ楽しめる北海道発のスイーツ」として展開し、香港では初めての販売となる。販売にあたっては、オンラインショップ「YAICHI 谷日百貨」とのコラボ展開となり、オンラインと直接販売の両方で展開する。
K11 Art Mallのアトリウムにあるポップアップショップの様子
今回のポップアップでは「SNOWSAND(スノーサンド黒・白)」(8個入り=145香港ドル、16個入り=295香港ドル) と「SNOWBALL(スノーボール黒)」(9個入り=115香港ドル)の2つの看板商品を販売する。
「北海道土産を仕掛けたかった」とSNOWS(スノー)を手がける北海道コンフェクトグループ社長の長沼真太郎さんは振り返る。同社が日高地方で展開する33ヘクタールの牧場では年間を通じて牛を放牧しているといい、「夏の牛乳と冬の牛乳はまったく違い、冬は寒いので脂肪分が高いちょっと黄色みがかった牛乳ができる。これを使って冬にしか売らない商品が作れないかと考えた」と、背景について話す。
ほかにも同社では循環の仕組みを作った。「毎年、牛乳が、そしてお菓子がよりおいしくなるように努力を積み重ねている」長沼さんは話す。「養鶏農場では、鶏の飼料に自社グループ内で廃棄される菓子くずを少し加えることで良い卵が生まれ、その鶏のふんをたい肥にして牧草が育ち、その牛からいい牛乳が搾れ、菓子になる。材料が無駄にならないように取り組んでいる」という。
看板商品である生チョコレートサンド「スノーサンド」は、その冬の放牧牛乳を使って仕上げた生チョコレートを使う。挟み焼きにして一気にじか火で焼くことで水分が一気に蒸発するため、外側はカリカリなラングドシャになり、中身はトロりとした生チョコになるという。
もう一つの展開商品「スノーボール」は、まろやかな生クリームを生チョコレートで包んだ生トリュフチョコレートで、「2つの生を一緒に楽しめる『ダブル生』スイーツ」としてアプローチする人気商品になっている。
パッケージデザインにもこだわりを見せる。「雪と山を想起させ、懐かしさを感じさせる」パッケージは、版画家・大谷一良さんの作品を使う。この縁をつないだのは「北のアルプ美術館」だった。1983年に300号で終刊した山の文芸誌「アルプ」の精神を受け継いだ山崎猛さんが設立した美術館が北海道斜里町にある。ここで出合った作品「雪の斜里岳」がスノーサンドのパッケージにもなっている。商品は全て大谷さんの作品をモチーフとし、そこからインスピレーションされた商品を一つずつ生み出してきた。
「『冬になるとやってくる』という意味では東京に出すのも香港に出すのも同じ。北海道の企業は冬の間あまり外に売りに行くということをしないが、われわれはあえて北海道以外でも期間限定で販売することで、北海道で買いたいという行動につなげられれば」と長沼さんは話す。「今回をきっかけとして次の冬もまた他の商品なども展開できるようにしたい」と意気込む。
営業時間は11時~21時。1月5日まで。