
アジア映画のアカデミー賞に当たる「第18回亞洲電影大獎(Asian Film Awards/AFA)」が3月16日、西九龍(West Kowloon)の戯曲中心(Xiqu Centre)行われ、最優秀主演男優賞は劉青雲さんが獲得した。日本からは「敵」の吉田大八監督が最優秀監督賞選ばれたほか、役所広司さんが特別功労賞を受賞した。
AFAはアジア映画を対象にアジア映画産業の発展や成長を促進し、優れた映画作品や関係者を表彰するもの。2007年に創設され2025年で18回目を数える。これまでにも香港の映画関係者のみならず、日本の映画監督、俳優、関係者も多く受賞しており、アジアにおいて日本映画の評価が高いことも分かる。
主演男優賞の劉さんが演じた作品は「●●(Papa/邦題「お父さん」)」。15歳の息子が妹と母親を刺殺し、精神鑑定を経てそのまま精神科病院に入院するという2010年に実際に起きた殺人事件を基に映画化したもので、劉さんは息子との関係性に悩む父親を演じた。舞台裏でインタビューに応じた劉さんは「子どもを演じてくれた人たちを含め、みんなのおかげで賞が取れた。香港映画は素晴らしい作品がたくさんあるので、香港映画界が冬の時代でも心配はしていない」と喜び、香港映画をこれからも発展させていこうとする強い意志を示した。
その他の香港映画では、香港のみならず日本でもヒットした「九龍城寨之圍城(Twilight of the Warriors: Walled In/邦題「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」)」が編集賞と美術賞の2部門を制した。パンデミック(世界的大流行)と不況のためにウエディングプランナーの仕事が立ち行かなくなり、葬儀社に転職した男を描いた『破.地獄(The Last Dance。邦題「ラストダンス」)は、香港市場ではトワイライト・ウォリアーズ以上の興行収益を上げた上、香港が製作した映画においては史上最高の興行収益を上げているが、音楽賞に輝いた。
日本からは、東京国際映画祭のコンペティション部門の最高賞に当たる東京グランプリを獲得した「敵」の吉田大八監督が最優秀監督賞に選ばれた。「皆さんが驚いているのと同じように、僕も驚いている。この映画は、僕が若い時から愛読していた、筒井康隆先生の小説を映画化するという幸運にまず恵まれ、それを信頼できるスタッフたち、素晴らしい俳優たちと一緒に創り上げるという、監督としては最高に恵まれた体験だった。そしてその上で、こんな素晴らしい賞まで頂いて、これ以上の喜びはない」と語った。これで日本人監督が3年連続でAFAの最優秀監督賞を受賞したことになる。
特別功労賞を受賞した役所広司さんは「昨年、『PERFECT DAYS』という映画で(主演男優賞)賞を頂きながら、この授賞式に参加できなかったことを申し訳なく思っている。そして今年、この「特別功労賞」。歴代の受賞者の方々のお名前を見ると、この賞の重みを感じる。この重みが励ましてくれる。残された俳優人生の中で、少しでもアジアの映画界に貢献できるよう頑張りたい」と壇上で話した。
ほかにも「HAPPYEND」に出演した栗原颯人さんが最優秀新人俳優賞を受賞し、俳優、モデルとして活躍する木村光希さんがライジングスター賞に輝いた。AFAのアンバサダーを務めたディーン・フジオカさんは、日本語、広東語、北京語、英語を駆使して、賞を盛り上げるなど、日本人の活躍も目立ったAFAだった。
●=父かんむりに巴