香港で8月1日から12日まで、香港大学と東京大学による共同プログラム「HKU-U Tokyo Joint Summer Program」が行われた。
プログラム最終日、修了証をもち喜びの表情を見せる香港と日本の学生たち
東京大学から学部生と大学院生合わせて20人を香港に招き、フィールドワークを展開する同プロジェクトは今年で2回目。今回は、東大生20人と香港大生10人が5~6人ずつのグループに分かれて街を巡り、香港の成り立ちや経済などについて香港を代表する教授陣の講義を受けたり、ヤクルト工場、日通、地元の高級スーパー「city‘super」を訪問するなどした。
3日に香港大で行われた日本人成功者の一人であるフェニックスグループ荻野正明会長の講義では、税制、社会保障、労務関係などについての日本と香港の違いを学ぶだけでなく、両者のモノの考え方の違いや外資企業の成功例などを聞き、また具体的な質問が相次いだ。
最終日の12日には香港学で各グループの発表が英語で行われ、「香港と日本の貿易について」、「日系製パン会社の香港での存在と現状」、「香港における女性の社会進出について」など各グループ異なるテーマでの実地調査を報告。その中で製パン会社の過程を調査し発表したグループは、現在香港内約2000店舗あるパン屋の中で約100店舗が日系パン屋であることや、その昔日系デパートの進出とともに香港に進出してきた製パン会社の歩み、また店舗づくりの違いなどの調査結果を発表した。
同グループの長を務めた東京大学修士1年の木下覚人さんは調査活動初期の3日には「うちのグループは香港人2人とシンガポール人1人、日本3人だが、バラバラで不安しかない」と答えていたものの、発表後は「寮生活なども一緒にすることで、深夜2時、3時まで議論することもあり、単純に楽しかった」と笑顔を見せる。「最初はテーマがどうなっていくのかなど不安が大きかったが振り返れば初日に研究テーマをパンにしようということだけはなぜか決まったのが不思議で、香港らしさなのかも」と振り返る。
同プロジェクトを率いる教授のひとり、東京大学の園田茂人教授は「東大の学生はすぐに答えを求めようとするが、紙の上での分析でなく、フィールドワークを通じて何が問題なのかを発見することが重要」と同プロジェクトの意義を話す。
現在、学年暦移行段階にある同大学では、より国際化が叫ばれる中、香港や台湾での同プロジェクトをほかの国で実施する際の試験的な意味と捉え、今後も実施を予定している。