香港で薩摩焼の古垣彰拡さん展示会 華道家・假屋崎省吾さんのパフォーマンスも

鹿児島出身の作陶家・古垣さん(左)と華道家の假屋崎さんが揃い、作陶展のオープニングセレモニーを開催

鹿児島出身の作陶家・古垣さん(左)と華道家の假屋崎さんが揃い、作陶展のオープニングセレモニーを開催

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 香港・銅鑼湾の百貨店「SOGO」の16階で12月1日、「古垣彰拡作陶展~薩摩焼 百花盛開~」のオープニングセレモニーが開催された。

釉裏銀粒彩技法で作られた花瓶

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 香港で総領事館をはじめ日本コミュニティーが盛り上げた「日本秋祭」を締めくくる同イベント。セレモニーでは、鹿児島出身の薩摩焼作陶家・古垣彰拡さんの作品に、鹿児島に縁のある華道家・假屋崎省吾さんが生け花のデモンストレーションを披露した。

 古垣彰拡さんは、従来の薩摩焼にはない20世紀に生み出された日本独自の技法「釉裏金銀彩技法」を用いて作り出す作品が特徴で、切り抜いた金銀箔(はく)を生地に焼き付け、その上に透明のうわぐすりを施し再度焼く。通常、銀は酸化して黒くなるが、この技法を使うことで黒変を抑えることができるという。薩摩焼といえば「白薩摩」と「黒薩摩」が一般的だが、古垣さんはブルーの薩摩焼「碧(あお)薩摩」という独自のスタイルを作ったことでも注目されている。

 古垣さんは、「『碧薩摩』特有のブルーは、「鹿児島の空と海をイメージして作った」と話す。自然豊かな鹿児島で生まれ育った古垣さんにとって海は非常に身近な存在で、「何かあればすぐ海に出掛けていた」という。鹿児島を離れ京都で修行をするようになってからは数年間地元に帰れない時期もあり、「そんな時も鹿児島の空と海がいつもよみがえってきた」と振り返る。そうした経験から、海を象徴する青を器の中に閉じ込めてしまおうと思い付き、碧薩摩を生み出した。白い土に青色のうわぐすりを合わせることで「碧薩摩」のブルーを作り出している。

 濃紺の陶器に銀色の粒が細かくちりばめられた模様が特徴の「釉裏銀粒彩」も古垣さんオリジナルのスタイル。この技法は、作品を作っている途中に焼成を失敗してしまったことから偶然生まれた技法といい、立体的な銀色の粒模様に引きつけられる人も多い。

 セレモニーに出席した假屋崎さんは、香港を拠点に活動する琴奏者・西琴美さんの奏でる琴の音に合わせ、8分程度で假屋崎さんが古垣さんの花器に花を生けるパフォーマンスで会場を魅了した。

 古垣さんと假屋崎さんとの出会いは、2015年に鹿児島で開催された「国民文化祭」で、「かごしま花大使」を務めていた假屋崎さんとコラボレーションすることになったのがきっかけ。古垣さんは「自分の作品をただ展示するだけでは面白くない。いろいろな芸術家の方とコラボレーションしてこそ新しい発見もあるし、皆さんに興味を持ってもらえる」と話す。

 同展示会では、香港のために作られた作品も多数展示している。オープニングセレモニーで使われた花瓶もその一つ。白をベースとした花瓶に金色の竜が描かれており、目にはルビーが埋め込まれ、見る角度によって映し出される色も変わる。古垣さんは「香港といえば竜のイメージ。香港に尊敬の意を示すために特別にこの作品を作った。今回の香港展示をきっかけに、日本の文化を海外に広めていきたい」と意欲を見せる。

 3日15時~16時、4日11時~12時は、会場で假屋崎省吾さんによる生け花のデモンストレーションが一般客に向けても披露される。

 開催時間は11時~21時。入場無料。今月6日まで。

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