香港のアカデミー賞に当たる「第35回金像奨(香港フィルムアワード)」の最優秀作品賞に輝いた「十年 Ten Years」の日本版「十年 Ten Years Japan」が11月3日、テアトル新宿(東京都新宿区)などで公開される。
「十年 Ten Years Japan」は香港版から派生したもので、タイ、韓国、台湾版も作られる。日本版は5人の監督によるオムニバス映画で、エグゼクティブ・プロデューサーは「万引き家族」でカンヌ映画祭最高の「パルムドール」を受賞した是枝裕和監督が務める。
5作品のあらすじは、75歳以上の高齢者を対象に国家が安楽死を推奨するという「PLAN75」、AIによる道徳教育を行うIT特区の小学校での出来事を描く「いたずら同盟」、母の生前のデータが入った「デジタル遺産」の中身を知った娘だが、そこには知られざる一面があったという「DATA」、地上は放射能に汚染されたため、地下の世界に住む少女が地上の世界に関心を持つ「その空気はみえない」、徴兵制が施行された日本で公示キャンペーンのポスターを一新することになるが、今まで担当デザイナーにそのことを伝えなければならないという気の重い役をすることになった広告マンを描く「美しい国」。
香港版はこの先10年に起こりうる問題をいろいろと考えさせられる映画だったが、日本版もそれと同じように問題提起をする内容に仕上がっている。「香港で社会現象になっていたということだけは知っていた。イタリアの映画祭で実際に見る機会を得た」と映画を製作したプロデューサーの高松美由紀さんは話す。初めての海外旅行は、恐らく1997年だったという高松さん。香港版でタクシードライバーに北京語の試験が課せられるシーンがあるが、高松さんも何度も香港を訪れている際、徐々に英語が通じなくなっているなと感じているという。「言葉一つとっても、香港人も私と同じことを考えているんだと思った」と続ける。
「香港亜洲電影節(Hong Kong Asian Film Festival)」でも11月10日・11日、日本、タイ、台湾版の上映が決定している。
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(特集)金像奨最優秀作品の日本版「十年 Ten Years」 高松プロデューサーに聞く(香港経済新聞)