香港政府の香港政府の陳茂波(Paul Chan)財政長官は2018年3月に香港市民に現金4,000香港ドルを支給することを決定したが、その還付を受けるための詳しい条件がほぼ固まった。
香港の財政長官は毎年2月終わりから3月頭に財政予算案を発表しているが、陳財政長官が発表した2018-19年度の予算案の中で税的優遇を受けられない人がいるため、それを補う方策として財政予算発表の数週間後の3月23日に追加措置的に発表されたいた。
受給は、次の6つの条件を満たした者が受けられる。(1)2018年12月31日現在で18歳以上 (2)香港のID所有者(新移民は含むが、仕事で来港したもの、学生、扶養者などは含まれない) (3)従来は香港に居住している人(海外に住む香港人留学生、治療のために一時的に海外に住んでいる香港人などは適用となるが、香港以外の海外に居住している人は対象外) (4)2018-19年度の財政予算で出された社会保障の援助を受けていない人(生活保護、高齢者向け生活保護、障害者手当などを受けている人は該当しない) (5)2017-18年度の個人所得税が課税されていない、または還付額が4,000ドル未満 (6)香港の不動産物件を所有していない
隣のマカオはカジノによる税収があり香港以上に政府の財政が健全であることから、ほとんど条件をつけずに多くのマカオ市民に恩恵が受けられる方針を示している。一方、香港の場合はあくまで2018-2019年の財政予算案の優遇を受けられない人にも恩恵を与えようというのが基本的な目的であるため、多くの香港在住者をターゲットにしたものではない。永久居民であれ、スポンサービザを所持して香港で就業しているとしても無条件に4,000ドルを受けられるという趣旨ではないことを香港在住者は頭に入れておく必要がありそうだ。事実、香港政府も、香港の人口約740万人のうち3割強の280万人のみが恩恵を受けられると見積もっている。政府はこのために約113億香港ドルの予算を付けた。
申請書は1月21日から香港政府の公式サイトからダウンロードするか、民生事務総署、香港各区にある民政諮詢中心などで配布される。これに、IDカードコピー、住所を証明するもの、銀行口座の情報なども併せて香港政府に提出する必要がある。申請書の受付期間は2月1日~4月30日。詳しい支給の開始時期は明らかになっていない。
今年実施の交通費の還付を含め、香港政府は低所得者層や何らかの形で高額の負担を強いられているといった弱者を助ける方策を推進し、レッセフェールが基本方針だった香港政府が、「小さな政府から大きな政府へ」の指向に変わっていることがより鮮明になっている。