スイスのプライベートバンクであるJulius Bar(ジュリアス・ベア)は1月16日、「Global Wealth and Lifestyle Report 2020」を発表し、調査した世界28都市のうち香港が高級品市場の中で最も高い都市となったことを明らかにした。
この調査は香港、東京、ニューヨーク、ロンドン、バンコク、パリ、シドニー、リオ・デ・ジャネイロ、ミラノ、バンクーバー、ヨハネスブルグ、ムンバイなど、その国・地域を代表する28都市を対象に行われた。高級品を「ホーム」「体験」「ファッション」「家族」「健康」の4つのカテゴリーに分類し、さらに細分化。例えば、「ホーム」は居住用不動産、車、ピアノの3項目、「体験」はビジネスクラスの航空券、ホテルのスイートルーム、高級ダイニング、高級ワイン、ウイスキーの5項目、「ファッション」は女性向けのシューズ、メンズスーツ、宝石、時計、女性用ハンドバッグの5項目、「家族」は寄宿学校、大学、弁護士、結婚披露宴の4項目、「健康」はビューティーサービス、レーシックといった目の手術、パーソナルトレーナーの3項、計20項目を比較した。
トップに立ったのが香港で、次いで、2位=上海、3位=東京、4位=ニューヨーク、5位=シンガポールとなった。以下、ロンドン=7位、パリ=12位、シドニー=15位、リオ=16位、モスクワ23位、ヨ=ネスブルグ=27位、ムンバイ=28位だった。
項目別で見ると、香港は弁護士=1位、不動産とダイニング=2位、車、ビジネスクラス、披露宴、ビューティーサービス=3位、スイートルーム=4位と、1位になったのは弁護士の1項目だが、ほとんどの項目でベスト10位にランクインし、総じて高いことが明らかになった。時計、宝石、ワイン、ウイスキーの4項目のみ20位以下だった。香港の不動産は世界的に高いことで有名だが、香港の上を行ったのがモナコ。モナコ政府が認めたセレブのみが住める場所だけあり、香港はモナコより35%ほど安いとしている。逆に言えばモナコは例外で、それを除けば香港はやはり高い。
ジュリアス・ベアは、香港の2019年のラグジュアリーマーケットは60億米ドルで、時計と宝石においては世界最大の市場規模を誇るとした。逃亡犯条例改正案を発端としたデモは香港の評判に影を落とす可能性があるとし、現時点で投資家は様子見をしている状況だと分析。貿易摩擦も香港経済にインパクトを残すため、2020年の経済成長は弱含みとした。
東京を見てみると、1位になったのはスイートルームのみ。女性向けシューズ=2位、ウイスキー=3位、不動産とビジネスクラス=4位だった。東京で順位が低かった項目は時計の25位、ワインの20位だった。このレポートは新型コロナウイルスが拡大する前ものだが、中国人観光客の来日は経済に好影響を与えるほか、東京五輪は項目全体の数値を押し上げる要因になるだろうとしている。