数々の受賞歴を持つミクソロジストのジョン・ニュージェントさんが2月13日、英語で「外交官」に当たる名前を冠したバー「The Diplomat」( LG/F, High Block, H Code, 45 Pottinger Street, Central, Hong Kong TEL: 3619-0302)を香港でバーが集まる中環エリアにオープンした。
アメリカ・シアトル出身のジョン・ニュージェントさんは22歳でバーテンダーの職に就いてから、北米の大会「カクテル・ウォーズ」で優勝するなど数々の受賞歴を誇るミクソロジスト。2017年に来港して以来、人気レストラン&バー「Lily and Bloom」で腕を振るっていたが、今回初めて自身プロデュースのバーをオープンするに至った。
茶色いレザーの長椅子やタイルを使った天井などから成る店内は心地良いガストロパブに仕上げたという。一方、壁には現代のアメリカを代表する写真家ライアン・マッギンレーさんの「Somewhere Place」シリーズの写真作品やカラフルでダイナミックなスカルプチャー・ペインティングで知られるジョシュ・スパーリングさんの作品などを飾り、シュールで現実離れした「隠れ家的空間」に仕上げた。
18席のみのこぢんまりとしたバーでは少量生産のワインやビンテージのリキュールなどをそろえるほか、カクテルは伝統的なものと新しい解釈を加えたものを提供し、「カクテルの歴史について伝えたい」と情熱を傾ける。
歴史を知ってもらうためにシグネチャーのカクテルには、そのカクテルにまつわる歴史的な「外交官」の名前を冠した。「Pearl」(95香港ドル)はルクセンブルクでアメリカ大使を務めたパール・リード・メスタ女史をインスピレーションしたもの。コーヒーリキュールを使ったカクテル「ブラック・ルシアン」が誕生するきっかけとなった人物だといわれている女史は華やかな交友関係を持ち、政治家を集めて豪華なパーティーを開いていたことでも知られている。通常、ウオッカとコーヒーリキュールで作るこのクラシックカクテルを、同店ではコーヒーアマーロ、カンパリ、グリーン・シャルトリューズ、パイナップル、ジンジャー、アーモンドにハーブや苦味を加えて「洗練された」味わいに仕上げている。
「Tarling」(95香港ドル)はイギリスのバーテンダー協会の会長を務め、バーテンダーの「外交官」だったウィリアム・ターリングに敬意を表して作り上げたカクテル。パンダン・ジン、白のポートワイン、スパイス、オレンジジュースとココナツジュースから成り、ナッティーでチョコレートのような味わいが楽しめる。
バーのスナックとして提供するのは黒トリュフ入りのマカロニ&チーズTruffled Mac & Cheese」(90香港ドル)、エスペレット唐辛子、ゆずマヨネーズ、自家製ケチャップを添えたベルギースタイルのポテトフライ「Pommes Frites」(90香港ドル)、コーンフレークを衣に使った鶏の唐揚げ「Crispy Fried Chicken」(100香港ドル)など、さまざまな都市の料理を取り入れながら多くの人にとってなじみのある「懐かしい味」を並べた。
営業時間は18時~深夜。日曜定休。