香港政府観光局(HKTB)は4月24日、観光開発に関する最新情報を紹介するとともに香港政府観光局の今後の戦略などを打ち出したウェブカンフレンスを開催し、旅行会社、観光施設運営者、ホテル、エアライン、小売り・レストラン、MICE関連事業者、クルーズ会社などの観光産業に携わる代表者約1500人が参加した。香港における観光業は主要産業の一つであり、2018年の政府統計によると、GDPの4.5%、1,280億香港ドルに上る。観光先進国として、スピード感をもって準備をすることの大切さを各国にもアピール場ともなった。
香港政府観光局の彭耀佳会長は「パンデミック後の世界では、観光は新たな局面を迎え、旅行者の好みや行動に変化が見られるようになる。旅行先の公衆衛生や公共交通、ホテル、観光施設の衛生基準などが最優先事項となり、近距離の短期旅行が好まれ、健康をテーマにした旅行が新しいトレンドとなるだろう」との見解を示し、「今こそ、世界の観光市場の中で香港の位置付けを見直し、サービス基準を向上させる絶好の機会」と述べた。
香港政府観光局はすでに、旅行業界のプロモーションをサポートするために4億香港ドル(日本円で約55億円)の割り当てを発表していたが、さらに、香港の観光事業の再活性化に向け3段階の計画を今回のウェブカンファレンスで発表した。
現在に当たる第1フェーズは回復に向けた期間として、香港観光事業の回復プランを準備する。
第2フェーズは回復期として、パンデミックの弱まりが見られたら、同局はまず香港内観光を強化し、香港のローカル人口に向けてさまざまな地域やコミュニティー文化の再発見を促す。これにより、香港におけるポジティブな雰囲気作りを促進することで観光客に前向きなメッセージを送るとともに香港に対する信頼を取り戻す狙いだ。同時に、香港への渡航興味を喚起するため、個々の市場動向に基づき旅行業界と戦略的なプロモーションを展開していく。
第3フェーズは再始動と位置付け、香港の観光イメージを再構築するため、メガイベントや新しい観光ブランドキャンペーンを実施予定だ。
具体的な実施時期はパンデミックの収束状況に応じて決定するとした。ウェブカンファレンスでは香港政府観光局の世界各地のオフィス職員が各地における状況を共有し、中国本土市場、近距離や新市場、長距離市場の、それぞれにおける最新動向を報告した。
中国市場については、「価格をより意識し、それに見合った休暇を取得する傾向になるとし、健康や自然に重点を置くようになる。オンラインで開催されるものも多くなるため、インセンティブ市場は減速していく」と説明。日本を含む近距離市場については、「国内旅行が主流になる。各国の競争は激しくなることが予想される。グリーンツーリズムやアウトドアに焦点を当てたものが好まれるだろう」と話した。長距離市場に関しては、移動の再開は早くても今年の第4四半期以降とし、回復には時間がかかると予想する。「ただ欧米の中では、カナダ、フランス、ドイツに言及し、消費者心理が積極的なことから、他の欧米市場と比べると早く回復する」との見解を示した。