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2020年の訪日香港人は前年比84.9%減の35万人 新型コロナ肺炎の影響で

香港から日本への渡航は依然として厳しい状態が続く

香港から日本への渡航は依然として厳しい状態が続く

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 日本政府観光局(JNTO)が1月20日、2020年の訪日外国人観光客統計を発表し、香港は前年比84.9%減の34万6100人だったことが明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大による「鎖国」政策が直撃した形だ。

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 訪日客全体で見ると前年の3188万2049人から87.1%減の411万5900人だった。この数字は1998年の411万人以来22年ぶりの低水準となる。1月下旬以降の新型コロナウイルス感染症の拡大により2月に入ってから水際対策が段階的に強化され「鎖国」に近い状態になったことで訪日外客数は大幅に減った。7月以降、ビジネス目的、留学など限定的な入国再開したが、観光目的での入国は現在も認められていない。今年に入り2度目の緊急事態宣言をする状況に陥り、さらに厳しい水際対策を実施しているのが現状だ。

 2019年はラグビー・ワールドカップ’(RWC)などの効果でイギリスが前年比27%増の42万4200人、オーストラリアが同12.6%増の62万1800人など、これまでアジアの訪日客が中心だったが、西洋系の観光客が大幅に増えた。本来であれば2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定だった。1カ月半、日本全国を回るRWCに比べると東京限定で2週間という開催期間の短さはあるとしても、RWC以上に世界中の国々が参加することから、2020年も大勢の観光客が来日することが期待されていた。しかし、新型肺炎の影響で1年延期されることが決まったことも厳しい結果を反映する形に。2021年の開催も危ぶまれており、観光業界はコロナが落ち着くまでは冬の時代が続く公算が高い。

 国・地域別で見ると、トップは中国が同88.%減の106万9200人。前年は959万人で新型コロナがなければ1000万人を達成する勢いだったがコロナで情勢は一気に変わった。2位は同85.8%減の69万4500人を記録した台湾で、2位が定位置だった韓国を抜いた。3位はその韓国で同91.3%減の48万7900人だった。

 香港は2020年も「定位置」の4番目で、前年の229万792人から34万6100人(同84.9%減)とこちらも大きく落ち込んだ。2020年10月31日まで事実上の上陸拒否をしていたことが大きく響いた。

 JNTOによると、その後、感染症危険情報のレベル2に引き下げられたことで11月1日より上陸拒否と上陸時のPCR検査の対象指定から解除されたことで少しは入国しやすくなったが、2021年1月9日から緊急事態宣言が発令されており、PCR検査が再び求められることになったと状況を説明し、訪日環境には依然としてハードルが高いことを示した。

 香港と日本の結ぶ直行便は、格安航空会社(LCC)によるフライトはなく、日本航空、全日空、キャセイパシフィック航空などのフルキャリアが、成田国際空港、関西国際空港などを結ぶ路線が就航している。しかし、依然として大幅な運休・減便となっている。

 一方、香港政府観光局(HKTB)は1月15日に2020年の観光客数を発表した。それによると前年比93.6%減の356万9000人だった。入境資格者はこれまでに、14日または21日間による強制検疫をしなければならないなどの厳しい措置を取っており、その結果、日本を下回る数字となった。詳細の数字は月末に発表しているため(1月29日発表予定)、12月と通年の国・地域別の数字はまだ明らかになっていない。ただ、1~11月の日本の数字は前年同期比95.1%減の5万294人。月平均で約4600人であることから、通年では5万5000人前後になるのではないかと予想されている。

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