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日本からの農林水産物・食品輸出額、首位は「香港」 鶏卵やコメが大きく数字伸ばす

香港では各スーパーでさまざまな産地やメーカーの卵を扱う

香港では各スーパーでさまざまな産地やメーカーの卵を扱う

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 農林水産省は2月5日、2020年の「農林水産物・食品の輸出実績」(速報値)を発表し、2020年の農水産物・食品の輸出額は前年比1.1%増の9,222億5,095万円だったことを明らかにした。日本は世界的な日本食ブームの好影響で海外輸出を積極的に行っているが、昨年は新型コロナウイルスの感染が世界中に広がり輸出が懸念され、休業せざるを得なかったレストランの影響で外食向けの輸出は落ち込んだものの、巣ごもり消費で家庭向けの輸出が好調で辛うじて前年を上回った。

 国・地域別では、香港が同1.2%増の2,060億5,499万円で、16年連続首位を維持したが、24億円増でアルコールと鶏卵が引っ張っている。鶏卵は2倍以上の44億9,735万円となり、武漢などを中心とした湖北省エリアの鶏卵の取引が一時ストップし、うまく日本産鶏卵が取って代わったこと、「日本の卵は生で食べても安全」というブランディングを行ったこと、日本産鶏卵に特化した店などの登場に加え、新型肺炎による香港政府の政策で店内飲食禁止時間が早まったことによる巣ごもり消費が追い風となり消費が伸びたと見られる。ほかにもコメ、牛肉、日本酒なども販路を拡大した。

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 トップの「香港」に続いて2位になったのは「中国」で6.6%増の1,638億5,188万円、3位は「アメリカ」で同4%減の1,188億2,366万円だった。

 「輸出額の増加が大きい主な品目」で見ると、「カツオ・マグロ類」が51億円増。ベトナム向けが多かった。続いて「アルコール飲料」が49億円増で、ブームが続く日本産ウイスキーが好調だった。「輸出額の増加が大きい国・地域」は「中国」の102億円増で、アルコールと清涼飲料水の輸出が伸びた。「ベトナム」が83億円増で続き、粉乳、カツオ・マグロ類が貢献した。

 カテゴリ別に見ると、トップは「加工食品」が前年比14.3%増の3,740億1,500万円、2位は「その他農産物」で同9.4%増の1,085億3,900万円を記録した。3位は「畜産品」で同9%増の771億3,500万円、4位は「穀物等」が同10.5%増の510億2,500万円だった。「野菜・果実等」は同2.9%増の457億8,600万円となった。

 水産物では「水産品(調製品除く)」は22.5%減の1,676億4,700万円、「水産調製品」は同15.4%減の600億2,200万円だった。林産物は同2.8%増の380億8,200万円を記録した。

 品目別で香港が世界トップになっているものは多く、豚肉(くず肉を含む)、豚肉(くず肉除く)、鶏肉(くず肉含む)、牛乳・部分脱脂乳、鳥卵・卵黄、米、小麦粉、即席麺、温州(うんしゅう)ミカン等、ブドウ(生鮮)、メロン、なし、桃(ネクタリンを含む)、イチゴ、柿、キャベツ(芽キャベツを除く)、レタス、大根・ゴボウ等、キノコ(はらたけ属除く)、乾燥豆(さやを除いたもの)、かんしょ(生・蔵・凍・乾)、冷凍野菜、チョコレート菓子、ぶどう酒、清酒、マーガリン、清涼飲料水等、大豆油、たばこ、薬用にんじん、観賞用魚、かき(缶詰)、かたくちいわし(調製)、ホタテ貝(調製)、あわび(調製)、貝柱(調製)、なまこ(調製)、真珠(天然・養殖)、サンゴだった。2位・3位に付けている品も多く、香港はまんべんなく輸出しているのが明らかになっている。

 一方、日本が唯一香港から輸入してランクインしたのは、1位はうなぎ(活)、2位はしいたけ(乾燥)とうなぎ(稚魚)だった。日本は中国、台湾、韓国へは輸出も行い輸入もするが、香港に関しては事実上、輸出オンリーの場所になっている。

 これだけ日本食材が浸透するようになった香港マーケットにも課題はある。家庭料理のテーブルや香港人同士のレストランでの食事での日本食材は、まだまだ主役にも準主役にもなれず、時々登場する脇役のような存在。より数字を伸ばすためには、一つ一つの食材の詳細情報や使い方を普段香港人が楽しむメニューに入り込ませるようにして解説することが必要で、香港人の食のスタイルにいかになじませた料理を提案できるかが鍵となる。