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香港で日本産米使う宅配弁当「和弁当」販売開始 四洲集団と全農香港がタッグ

すべての弁当に日本産米や日本産鶏卵を使う新プロジェクトが始動

すべての弁当に日本産米や日本産鶏卵を使う新プロジェクトが始動

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 香港食品大手の四洲集団(フォーシーズ)は11月18日、日本産米をメインにした宅配弁当「和弁当」の販売をスタートした。日本産米の消費拡大を目指す「JA全農」とのジョイントプロジェクト。

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 プロジェクトの始まりは約2年前にさかのぼる。「日本産米のさらなる拡大を目指したい」というJA全農側の要望に四洲集団の戴德豐会長が応える形で、四洲で展開する給食センター兼ホテルへのケータリングサービスなどを提供する子会社に、その機能を持たせることを決定したことにある。「オフィス弁当のマーケットに日本のプレミア感ある弁当で勝負したい」という四洲側の戦略とも重なったことが、プロジェクトの推進力となった。金融街中環・金鐘エリアを中心に、ランチタイムになると「ランチ難民」が発生することもしばしばで、特にレストランへの規制なども続く中、スタートを切る。

 弁当を作る工場は50年の歴史があり、現在は新型コロナの影響で一時ストップしているものの、1日2万8000人分の給食を作ってきた。センター内には新たに1つで600キロの米を貯蔵できるサイロを2つ設置した。20~25分かけて天然ガスで炊き上げる。洗米機、ほぐし機や立体の蒸らし装置なども日本から入れ、銘柄を指定し、水の量を調節して自動で管理できるようにした。

 メニューは1日に7種類、週に3~4回利用したとしても飽きないよう工夫。4つの価格帯を用意し、丼物(49香港ドル)、カツカレー弁当、照り焼き牛肉弁当(以上65香港ドル)、サバの塩焼き弁当(59香港ドル)など。揚げ物、煮物、焼き魚などのおかずを入れた幕の内弁当(69香港ドル)もメニューに並ぶ。日本産米に加え、日本としても課題であり、香港への輸出が各段に伸びている日本産鶏卵も少し黄身のトロッとした感覚が残る「半熟卵」にして半分にカットしたものを弁当に入れる。

 全ての弁当に日本産米を使うものの、メニューはいわゆる「和食」だけに限らず、中華の「魚香茄子」「中華丼」、タイの「グリーンカレー」などのアジア料理も多くメニュー化した。日本と香港で異なる、ご飯の量に対する満足度についても意見を交わし、最終的には日本より少し多いと感じる程度にしたという。環境や健康を意識する人が多い社会を背景に環境保護や菜食をしようと呼び掛けるグリーン・マンデーの植物由来の代替肉「オムニポーク」を取り入れるなどの工夫も凝らす。JA全農の特徴を出すため、弁当に「リンゴ1個」などの果物や、フルーツのジュースなども一緒にオーダーできるようにした。

 「今後、現在契約している100校以上の学校給食にも日本米使用を提案したい」と話す四洲集団ゼネラルマネジャーの陳健●さん。「コストは少し上がるが、それでも日本産米を受け入れる学校はあると確信している」と自信をのぞかせる。

 スタート時期はデリバリ―サービス「FOOD PANDA」と提携し、金鐘から半径3.5キロ圏内の中環~灣仔を中心にサービスを提供するため、アプリ内に表示されれば配達可能エリアとなっている。平均でオーダーから15~20分でオフィスなど指定場所に届けることができる。今後徐々にサービス提供範囲を拡大する計画だ。1日2000個の販売を目指す。

 ●=木へんに梁。

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