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JA全農が香港に進出 香港の活気を日本に見せたい

JA全農香港進出の開所式の様子

JA全農香港進出の開所式の様子

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 全国農業協同組合連合会(JA全農)が4月末、香港に事務所を開設した。

JA全農所属の卓球石川佳純選手を広告にも採用

 香港は日本の農林水産物・食品の最大の輸出先であり、2017年の日本からの輸出総額8,071億円の約4分の1に当たる1,877億円を占めているものの、香港の輸入総額に占める日本産の割合は約2%に過ぎず、今後も日本から輸出の拡大の余地があると判断したことによる。JA全農は米国、英国、シンガポールに輸出拠点を設置し、米国・欧州・アジアでの輸出拡大に取り組んできたが、加えて香港・台湾・タイ・中国の4カ所に海外拠点を設ける検討を行ってきた中、香港にはJA全農インターナショナルが、香港への輸出拡大に向け、産地からリテールまでつながるサプライチェーンを構築するため、香港に子会社を開設した。この香港子会社が全農香港事務所を併設する形を取る。

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 全農國際香港の金築道弘総経理は今JA全農が香港進出した理由として、まず「日本の農業の高齢化」を挙げる。農業従事者の中には後継ぎが見つからず、田畑を手放す人もいる中、「香港でこんなにも日本の農産物の評価が高い」「こんな価格で買ってくれる消費者がいる」という様子を目にすることができれば、次のステージに進んだり、真剣に後継ぎを探そうという意欲が起きたりするかもしれないと考えているという。消費の現場を見せ、消費の場を作ることにより、日本人の意識をもう一度高めたいと意気込む。これらの活動を通して、「日本の農家の収入を上げる」ことも命題に掲げている。

 「日本の農産物はリレー出荷することができる」と縦長の地形を生かして日本の農産品をリレー式で出していき、スーパーなどでも安定的な棚の確保を進めていきたいと話す。金築さんはこれまでにインバウンド関連の仕事にも携わってきた中、「食とインバウンドの組み合わせ」がいかに大切かを肌で感じてきたと言い、引き続きこの組み合わせにも焦点を当てた展開も考えることに加え、「例えば、旬を迎える岡山の桃も、どうやって大きく、味も特別になるように育てるかだけでなく、品評会で結果が発表される瞬間の緊張感や喜び、涙などにもドラマがあり、そうした日本の農業の裏側も伝えていきたい」という。

 香港での日本食材はすでに浸透してきたといえるものの、例えばミョウガなどの食べ方はまだまだ知らない人も多く、食べ方もセットにしたアプローチを図ったり、日本の米も炊飯の前に水に浸すことでよりふっくらと炊き上げることができることを伝えたりするなどの工夫も成熟市場の香港に向けて発信する。

 JA全農は同社所属で卓球の石川佳純選手を広告モデルとし、香港で開催された卓球選手権に合わせて日本の果物の力を訴える広告を香港地下鉄に掲出したが、今後も積極的に石川選手を起用して日本の米、肉、野菜、果物などの良さを訴えていく予定だという。