中環に昨年秋オープンしたカクテルバー「PENICILLIN」(L/G, Amber Lodge, 23 Hollywood Road, Central, Hong Kong TEL: 9880-7995)が4月、ドリンクと食事のセットメニューの提供を始めた。同店はカクテルで環境問題に貢献するべく、二酸化炭素ガスとゴミの排出を限りなく少なくすることを掲げ、「ファーム・トゥ・バー」を提唱している。
飲食店で毎日大量に生み出されるゴミ。香港という便利な立地は、各店が競って世界中から取り寄せる新鮮な食材や珍しい食材は食料輸送による環境負荷が大きい。このような事態に一石を投じ、環境に優しいカクテルを提供したいという思いから生まれたのが同店。香港産の農作物を中心に地産地消を心掛け、カクテルに使った材料をバースナックに生かしてゴミを減らす取り組みを行う。同店を手掛けるのは、2018年「アジアのベストバー50」で5位、翌年には同賞で1位になった「香港一のバー」と名高い「The Old Man」をオープンしたコンビによるもの。
2017年「Drink Magazine Asia」でトップ10バーテンダーの一人に選ばれたジャカルタ出身のアグング・プラヴォ(Agung Prabowo)さんとThe Landmark Mandarin Oriental、The Upper Houseなどの有名ホテルなどで実績を持つネパール系香港人のロマン・ガレ(Roman Ghale)さん。さらにローラ・プラヴォ(Laura Prabowo)さん、ケイティ・ガレ(Katy Ghale)さんと建築オフィス「COLLECTIVE」のベティ・ン(Betty Ng)さんが加わりチームとなった。店名はアレクサンダー・フレミング博士によって発見された世界初の抗生物質に由来し、「ペニシリンがそれまでは死に至った病を治療可能としたように、ゴミの排出量の多い飲食業界のブレークスルーとなりたい」という思いを込めた。
カクテルの中で一番の注目は「One Penicillin, One Tree」 (110香港ドル)。このカクテルはオーダーごとにボルネオ島の熱帯雨林に木が一本植林される環境保護に貢献できる一杯。「THE PENICILLINS」と題したカクテル類はニューヨークのバーテンダーサム・ロスさんが考案した蜂蜜、レモンジュース、新鮮なショウガ、スコッチウィスキーから作るカクテル「ペニシリン」に着想を得たものが並ぶ。「Something Clear」(90香港ドル)はヤギのミルクとウィスキー、シトラス、ジンジャーハニーワインから作る。「Smoked & Malt」(90香港ドル)はバター風味のラム、ジンジャー、レモングラスソーダ、麹、シトラス、スモークベーコンが入ったカクテル。
オープン当初より、カクテルに使った材料の残りを生かしたバースナックには塩こうじに漬けたチキンを揚げ、キノコとゆずこしょうマヨネーズを添えた「Koji Fried Chicken (KFC)」(108香港ドル)や揚げたタイ、紫キャベツ、発酵唐辛子、シトラスが入ったタコス「Crispy Fish Taco」(98香港ドル)など手の込んだメニューが並ぶ。
これらの食事と組み合わせたメニューは、月曜~土曜は「フローレス・フィード」(200香港ドル)として、前菜3品、メインディッシュ1品、そして生きたバクテリアや酵素、ビタミン、ミネラルを含んだオーガニックの発酵ドリンク2杯をセットで提供。軽めのランチとして、前菜1品、メインディッシュ1品、オーガニック・ファーメンツ・ペアリング1杯をセットにした「LIGHT & REFRESHING」(128香港ドル)もある。
日曜限定の新しいサンデーブランチメニューでは、3種類のメインに加え、2時間のフリーフローのシャンパンとミモザを追加することができる。メインディッシュ1品と2時間のフリーフローセットを298香港ドルで提供。1時間148香港ドルでフリーフローを追加することができる。
ブランチメニューには、グリルベーコン、トマト、ポートベロマッシュルーム、スモークサーモン、ほうれん草、スクランブルエッグなどを盛り込んだ「Penicillin's All-Day Breakfast」、コーンとスモークチョリソーを添えた「じっくり煮込んだダックレッグコンフィワッフル」、クリスピーなオニオンリングとトマトジャムを添えた「ローカルポーク&アプリコットバーガー」など。
営業時間は18時~深夜。現在は新型コロナ肺炎措置に準じて営業している。