香港政府は4月14日より、香港に到着する航空便(貨物便は除外)について、一定の規定違反が判明した場合、当該航空会社を14日間の運行停止にすることについて厳格化した。翌15日には、ワクチン接種の対象年齢を16歳以上に引き下げることも発表した。
香港は19日現在、累計感染者数が1万1,684人、死亡者は209人、回復者1万1,270人、新規感染者は30人となっているが、最近は海外からの渡航してきた人が持ち込む例が少なくない。海外では感染拡大基調にある国もあることから、香港国際空港への到着便において一定の基準を違反すると、その航空会社は14日間の運行停止となる措置をより厳しくすることになった。
具体的には、1便当たりの感染者が5人以上出た場合だったが、新規定では3人以上に引き下げ。7日間で同じ出発地からの同じ航空会社の便に3人以上の感染者が2回以上あった場合を、2人以上に厳格化。さらに、同じ便に感染者が1人以上で、かつ入境時の必要書類に不備など入境条件に合致しない乗客が1人以上いる場合についてである。
さらに、従来よりも感染力が強いといわれる変異株N501Yの感染者が7日以内に5人以上の入境者がいた場合、当該国からの全ての香港到着便を14日間禁止するという項目を追加した。日本-香港で例えるならば、キャセイパシフィック航空、香港航空、ANA、JALがまとめて運航停止となる。
さらに香港政府は4月15日、ワクチン接種の対象年齢について新規定を明らかにした。これまで最低年齢が30歳以上を対象としていたが、アメリカのファイザーとドイツのビオンテックが共同開発し上海の復星医薬(Fosun Pharma)が香港などでの販売権を持つ「復必泰(Comirnaty)」を16歳以上、北京に本社を置く科興控股生物技術(Sinovac Biotech/シノバック・バイオテック)の「克爾来福(CoronaVac)」は18歳以上に引き下げた。4月23日9時から予約できるようになる。
16歳、17歳が接種をする場合は親の同意書が必要となる。香港政府は接種対象者について3月8日と同15日にも拡大してきたが、新方針により全人口の88%、650万人が対象となる。
香港内に約30カ所に設置されている地域接種センターは9月いっぱいで終了することも決まった。その後の接種は、医院管理局の管轄下の18の病院や診療所で継続して行われる。「復必泰」に関しては、同ワクチンの接種率と保存の関係から9月いっぱいで終了するだろうとし、1回目の接種を8月末までには終えるように呼び掛けた。「克爾来福」は保存期間が長いため、9月以降も接種可能とした。イギリスのアストラゼネカ製のワクチンは血栓などの副反応が発生したため一部の国で接種を一時停止したりしているが、香港政府は現時点で供給量は十分あるとして2021年内の供給は無いとしている。