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香港政府、濃厚接触者の強制隔離について新規定発表 経験者が語る隔離時の必須アイテム

陰性でも濃厚接触者には厳しく隔離をする香港

陰性でも濃厚接触者には厳しく隔離をする香港

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 食物及衞生局の陳肇始(Sophia Chan)局長は5月7日、濃厚接触者の隔離の新規定について明らかにした。検疫センターでの隔離期間については、ワクチン接種が完了したことを証明するなど一定の条件を満たせば短縮するなどとした。

経験者からのヒアリングをもとにまとめた隔離施設での必須アイテムリスト

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 香港は11日現在、累計感染者数が1万1,812人、死亡者は210人、回復者1万1,496人、新規感染者は4人となっている。一方、ワクチン接種者については、1回目が108万7202人、2回目も終えた人は68万9257人となっている。

 濃厚接触者と認定された場合、基本的に香港ディズニーランドの近くにある竹●湾(Penny’s Bay)の検疫センターで隔離を行う必要があった。しかし、ワクチン接種を完了しても濃厚接触者と認定されれば強制隔離となったため、接種の意味がないという声も上がっていた。ワクチン接種開始当初、接種率増加に苦労していた香港政府にとって、ワクチンバブルの政策でようやく接種率が上がってきただけに、ここで水を差すことは避けたい。併せて日本で猛威を振るっている変異株N501Yにおいて、香港では5月7日までに11件あったが、その後大規模なPCRを検査した結果、感染源が不明といったケースなどが見られないことから、隔離規定を緩和することになった。

 「従来株の濃厚接触者」は、次の3つの条件を満たした場合に隔離機関を14日から7日に短縮。その後、7日間の自主健康管理期間で12日目にPCR検査を受けなければならない。(1)アメリカのファイザーとドイツのビオンテックが共同開発し上海の復星医薬(Fosun Pharma)が香港などでの販売権を持つ「復必泰(Comirnaty)」または科興控股生物技術(Sinovac Biotech/シノバック・バイオテック)の「克爾来福(CoronaVac)」の接種証明書を提示できること(2回目の接種日から14日経過していなければならない)。(2)検疫センターに入った当日または翌日のPCR検査の結果が陰性であること。(3)検疫センターでの検査で、スパイクタンパク質に対するIgG抗体が確認される、または全抗体が陽性あること。もしくは中和抗体検査で陽性であること。

 「N501Y株の濃厚接触者」においては、従来株同様に3つの条件を満たした場合、隔離期間を21日から14日に短縮。隔離終了後は7日間の自主健康管理期間で19日目のPCR検査を受ける必要がある。

 (1)「復必泰」か「克爾来福」の接種の証明書を提示できること(2回目接種終了から14日以上が必要)。(2)検疫センターに入った当日またくは翌日、7日目と12日目のPCR検査の結果が陰性であること。(3)検疫センターでの検査で、スパイクタンパク質の対するIgG抗体が確認される、または全抗体が陽性ある、もしくは中和抗体検査で陽性であること。

 (1)については・新型コロナウイルスに感染し、退院してから9か月以内であることと1回目の「復必泰」や「克爾来福」の接種が終わり、接種日から14日経過しているものも含めるとした。

 変異株の濃厚接触者は、もし変異株の陽性者が確認された場合、そのマンションなどの同一の建物に住む住民全員にも21日間の隔離が適用される厳しいものだった。しかし、今回からは同じユニットにいなければ濃厚接触者として認定されないこととなり、マンションの同じフロアの別ユニットに住む住人や別の階の住民は隔離措置を受ける必要がなくなった。ただし、陽性者が建物を離れた後(=入院のため家を離れた後)を起点に、3、7、12、19日目に強制PCR検査を行う。その結果、さらに陽性者が複数発生した場合は、21日間の強制隔離となる。

 可能性が低くなったとはいえ、強制隔離の移動は勧告から数時間で実施されるため、事前に準備をしておくと良いものがある。Wi-Fiが使えないことは以前から言われていたが、強制隔離をされた日本人に直接話を聞くと、一番重宝したものは「電磁調理器」だったという。今回、強制隔離が終了になった一つの要因ともなった食中毒の発生から見ても、配給される食事には色味がなく、自分で簡単な調理ができ、カップラーメンを食べられるだけでも随分と気分が前向きになったという。「インスタントやレトルトの食品、しょうゆなどの調味料やふりかけなどがあると少し変化を出せるため重宝した」そうだ。

 支給されるものもあるが、枕や掛け布団は数が足りなかったり、いつもと環境が変わったりすることから自分の家から持っていく方が安心できる。電気ソケットが少ないため複数の差し込み口がある延長コード、冷房のきつい香港である故、厚手のパーカなどもあるといいという。タオルなども支給がない。果物の配給がある際、果物ナイフやまな板も役立つほか、マグカップや箸・スプーンなど、いつも使っているものが重宝する。

 厳しい隔離システムの裏側で、移動までの数時間の間に必要なものを届けてくれたり、大家から「今月の家賃はいらないよ」と言われた人がいるなど、人情あふれる香港人の優しさが感じられる光景も見られるという。

 ●=竹かんむりに高。

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