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アートフェア「アートバーゼル香港」開幕 会場とオンラインのハイブリッド形式で

開幕初日の会場の様子

開幕初日の会場の様子

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 世界最大級のアートフェア「アートバーゼル香港」が5月19日、香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開幕した。3月に開催予定だったが、コロナ禍の影響で5月に延期された同展は9回目。23の国と地域から104のギャラリーが、アジアの歴史的な作品から新進気鋭のアーティストや作品まで、アジアと世界の多様なアートシーンを紹介する。今年はデジタルとフィジカルのプラットフォームを融合させ、新たな規模と形式で開催。一般公開は21日に始まる。

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 渡航制限により物理的に参加できないギャラリーに向けては、対象ギャラリーのブース内にバーゼル側がアシスタントを配置している。56のサテライトブースを設置しているほか、ショーの様子を世界の観客に向けて放送する「アートバーゼル・ライブ:香港」という新しい試みも加わった。リアルなフェアに参加する各ギャラリーのブースでの展示内容をオンラインで鑑賞可能なオンライン・ビューイング・ルーム(OVR)を用意するほか、会場からライブ配信するバーチャルツアーや特別イベントなども予定。

 シルバーレンズとロッシ&ロッシ、マイヤー・リーガーとシエス+ホーク、アンテナ・スペースとバリス・ハーツリングなどの国際的なギャラリーが共同で出展していることも注目されており、イタリアを代表する8つのギャラリーによる共同ブースも展開。特別企画として「ファインアート・アジア・パビリオン」を設け、主に1940年代以前に製作された骨董(こっとう)品やオブジェをテーマ別に展示している。

 例年同様カテゴリー分けがあり、同展のメインセクションとなる「Galleries(ギャラリー)」では、世界の主要な86のギャラリーが、絵画、彫刻、ドローイング、インスタレーション、写真、ビデオ、デジタルなどを展示している。アジアの歴史的な作品を多く展示しており、韓国のアーティスト、キム・クリム(金丘林)、チェ・ビョンソ(崔秉昭)さんなどの作品を展示する「Arario Gallery(アラリオ・ギャラリー)」や、「東京画廊+BTAP」からは関根美夫さん、高松次郎の作品など。今回初参加となるメキシコシティ「Proyectos Monclova」のガブリエル・デ・ラ・モラ(Gabriel de la Mora)さんの作品は、現在進行中のシリーズ「Neornithes」からの新作を展示している。

 アジアの重要なアーティストの作品を「厳選して」展示することで、アジアとアジア太平洋地域の現代美術史を紹介する「インサイト(Insights)」には、今年は10のギャラリーが参加。ハイライトは、韓国の写真家チョン・ヒスン(Heeseung Chung)の新作シリーズ。レオ・ギャラリー(LeoGallery)からは、墨と中国の書道紙を現代的に解釈した作品を制作しているリン・ヤン(林延)さんの作品。初参加「思文閣」のブースでは、アジアの現代書道界の中心的存在である戦後の日本人書家、森田子龍の作品を紹介する。

 「Discoveries(ディスカバリー)」カテゴリーには、、若手アーティストの個展に焦点を当て、8つのギャラリーが参加する。「ハイアート(High Art)」からは、韓国の伝統的なシルクペインティングの技法からインスピレーションを得たキム・キュウ・フン(Hun Kyu Kim)の絵画を展示する。「ドンギャラリー(Don Gallery)」は、上海を拠点とする若手コンセプチュアル・アーティストLiu Ren さんの作品をラインアップした。

 ほかにも香港では、並行して「アート・セントラル」や「鹽田梓藝術節2021」(Yim Tin Tsai Arts Festival 2021)をリアルイベントとして実施し、「香港アートフェスティバル」のPLUSプログラムでは、オンラインと会場での体験を組み合わせた多様なラインアップを用意するなど、香港全体でアートに注力する期間となる。併せて香港政府観光局は、香港のアート文化情報を一元的に提供する「アート in 香港」キャンペーンサイトを開設。2021年末に開館予定のアジア初のビジュアル・カルチャー美術館「M+」は、映画をオンデマンド形式でオンライン上映するなど、周辺のアートイベントの取り組みも見られる。オンラインで楽しめる展示会やアートマップ、イベントカレンダー、アート関係者のインタビューなどを紹介する取り組みもある。

 一般向け公開は、21日=16時~21時、22日=14時~20時、23日=14時~16時。

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