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中環の香港海事博物館で特別展示 多くの展示品で6000年の歴史ひもとく

常設の展示もあわせて海事に関わる香港の歴史が分かる博物館

常設の展示もあわせて海事に関わる香港の歴史が分かる博物館

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 中環のフェリーピアにある香港海事博物館(Central Pier No. 8, Hong Kong Tel: 3713-2500)で6月3日、6000年にわたる海事の歴史をひもとく企画展「マリタイムクロスロード(帆檣匯港:世貿千年)」が始まった。新石器時代から現代まで、香港を国際的な都市へと変貌させた魅力的な海の物語を掘り起こす。

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 香港市民や観光客が、香港のユニークな海事遺産を知ることができるよう、香港船主協会のメンバーが設立した同館。香港と珠江デルタ、世界との交易など、香港と海との関係を伝える文化施設となっている。2005年にスタンレーのマレー・ハウスで一般公開された後、2013年に現在のフェリーピアに移転し。現在は3フロア15のギャラリーに1200点以上の作品を展示し、年間約13万人が訪れている。

 今回の企画展では、新石器時代から現代までの6000年を振り返り、香港を国際的な港町に変えた海の物語を展示する。歴史的な陶磁器だけでなく、船の模型や絵画の展示も多く、子どもから大人まで楽しめる内容になっている。最新の考古学的発見なども含め250の展示品や工芸品を展示。19世紀に西貢(サイクン)付近の海底で発見された2つの大砲なども目玉になっている。同館が所蔵する重要な絵画をデジタル表示した没入型ディスプレーや 、ビクトリア・ハーバーで行われた香港の海岸線の埋め立てのデモンストレーションなども含まれる。

 展示は全部で5つのセクションと10のテーマを年代順に並べ、香港の海事物語をグローバルな視点に織り込んだ。交差、流れ、遷移、移住、定住をしながら、商品の流通につながった歴史が分かる。香港は海に囲まれ、海での活動、貿易、異文化交流の長い歴史は、香港の遺産に深く根ざしている。

 発展した文明には水が重要な役割をしていたことが分かる。東アジアの海上ネットワークの出現と黄河、長江、アジア太平洋の海域を紹介するエリアでは、初期の香港の住民がアジア太平洋地域のさまざまな文化とどのように結びついていたかに注目した。西貢の大浪湾の岩石彫刻を3Dプリントで再現した展示がある。黄河の中央平原から海岸に沿って香港に持ち込まれた動物のモチーフと アジア太平洋地域の象形文字とのつながりを示している。

 そのほかの展示も、香港の地理的優位性は、海と切っても切れない関係を紹介。初期の東アジア、インド太平洋地域、ペルシャ湾を結ぶ貿易網、その後、日本まで商人、使節、僧侶による風俗・文化の交流が行われの海上貿易の繁栄につながった時代、一方広州では、中央平原との陸路での交流が盛んになり、陸路の交流が頻繁に行われるようになったものの、香港も中継港としての役割を果たしていたことを紹介する。

 ポルトガルがマカオを植民地としたことで、さらなるグローバルなネットワークにつながり、オランダの商人たちは、オランダ東インド会社を通じ、香港が中国と東南アジアを結ぶ交易路に位置したことが、水や食料の供給、バラスト水の処理や密輸のため機能していたことを示している。第一次アヘン戦争の際もイギリス側は、当初から戦略的立地が中国舟山よりも広くて深い水深のある香港の方が有利な港であることを理解していたという。1860年代に入ると、クリッパー(帆船)に代わって蒸気船が登場した。

 定期的なしゅんせつや造船所、灯台などの先進的な港湾施設が加わることで、香港の広くて深い港は、水上船舶の接岸や通過に適していたことからも、香港は国際的な海事ハブへと徐々に変貌を遂げた様子が分かる内容に仕上げている。

 期間中、「Maritime Culture Salon」と題したセミナー、学芸員によるツアー、教育プログラムも予定する。

 開館時間は9時~17時30分(土曜・日曜は10時~19時)。入館料は、大人=30香港ドル。60歳以上、子ども=15香港ドル。8月12日まで。

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