香港政府は6月18日、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ経済を刺激するため、電子商品券5,000香港ドルを8月1日から配布すると発表した。2020年は現金1万香港ドルの現金を支給したが貯蓄性もあることから想定より経済を刺激するには至らなかった。今回はデジタルを駆使して有効期限を設け、消費につなげたい考えだ。
香港は21日現在、累計感染者数が11,887人、死亡者は210人、新規感染者は輸入症例の1人だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が1,940,405人、2回目も終えた人は1,280,169人となっている。
新型コロナウイルスの防疫対策については、アルファ株(イギリス株)、デルタ株(インド株)の拡大も抑え込んでいる。香港政府は、対策の厳しさによって経済が低迷することを覚悟で臨んでおり、少しでも経済を回復させるため5,000香港ドル分を消費性が高い電子マネーを通じての配布を決めた。
受取資格は2021年6月18日以前の時点で18歳以上の永久居民と新移民が対象。ただし、ベースが香港である必要があり、海外に留学、健康問題で外国に入院するなど特別な事情を除き6月18日を起点に24カ月連続して香港を離れている者は受け取ることができない。
電子消費券は小売店、飲食店、香港ベースのECサイト(アマゾンなどは不可)などで利用可能だが、税金、電気、水道などの公共料金、トンネルや駐車場の料金、政治や宗教、慈善団体への寄付、保険などの金融商品、授業料などは適用外となる。
電子マネーを使うにはWeChat Pay HK、支付寶香港(Alipay HK)、拍住賞(Tap & Go)、八達通(Octopus)の4種類の中から選択する。最初の3つのアプリはスマートフォンのアプリを使い、アカウントにチャージされる。オクトパスは、各MTR駅に設置されている交通還元用の水色機械、フェリーターミナルとLRTサービスセンター、セブン-イレブン、サークルK、恵康(Wellcome)などでチャージできる。現金への引き換えはできない。
登録はまず政府が新しく創設したプラットフォーム「智方便(iAM Smart)」にアクセス。そこでIDカード、利用するアプリまたはオクトパス、住所を登録する。書面も申請可能で、書類は郵便局、香港各区にある民政事務所などで取得し、必要事項を記入後、郵便局や各銀行に設置されている収集箱に投函する。
WeChat Pay HK、Alipay HK、Tap & Goの3つは7月4日~17日の間にネットで登記した場合は8月1日に2,000香港ドルが所有しているアカウントにチャージされ、10月1日に残り3,000香港ドルがチャージされる。有効期限は2021年12月31日まで。上記の期間内にネットで登記をしなかった人と書面での受け付けは、最初のネット受け付けが終わった翌日の7月18日~8月14日に開始され、1回目は9月1日、2回目は11月1日に振り込まれる。こちらの有効期限は2022年1月31日まで。
一方、オクトパスは課金の上限が3,000香港ドルであることから状況はもう少し複雑だ。7月4日~17日に登記した場合、1回目の2,000香港ドルが8月1日にチャージされ、2回目は10月1日に再び2,000香港ドルがチャージできる。3回目は残り1,000香港ドルのチャージとなるが条件がある。11月30日までに4,000香港ドルを利用すると12月16日にチャージ可能となり、12月31日までに4,000香港ドルを消費すれば2022年1月16日に、2022年1月31日までなら2月16日に、2022年2月28日までに消費すれば3月16日に、それぞれチャージ可能となる。書面での受け受けはネット申請の1カ月遅れとなる。
各アプリもオクトパスも利用してもらうため、特典を付けるなどのプロモーションを始める予定だ。例えば、オクトパスは1億ドル余りを投じて1人118ドルのオクトパスのチャージ額と特別優待を提供する。さらに約30カ所のショッピングモールでオクトパスによる消費券使用で賞品が当たるキャンペーンを実施することを発表している。