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香港・銅鑼湾に「京おでん・まさ」 京都の薄味おでんで、熱かん提供

素材の味を引き出す丁寧な仕込みを感じる各種おでん

素材の味を引き出す丁寧な仕込みを感じる各種おでん

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 香港銅鑼湾SOGO裏手の謝斐道に9月28日、京おでん「まさ」(Unit 1103, United Success Commercial Centre, 508 Jaffe Rd, Causeway Bay Tel2891 1530)がグランドオープンした。

こぢんまりとして落ち着いた雰囲気の店内

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 同店は、以前もおでん店があった場所に、京都の老舗料亭「菊乃井」出身の林雅範料理長による京おでんの店として生まれ変わった。菊乃井での経歴は東京7年、京都8年の15年にわたるものの、「海外で勝負したい」との思いから、2年前に香港のプロジェクトに参加し、いったん京都に戻って再び香港の地を踏むことになったという。15年の間に、焼き場、揚げ場、煮方などさまざまなポジションで腕を磨く中で、「魚を切ることが好きであればすし職人という道もあったのかもしれないが、味を付けるところが好き」と話す林料理長は同店で、「おでん」を通じて、これまでの経験を生かす。懐石との共通点は「だしを使う」ところだ。「おでんはそれぞれの具材が最終的には一つの大きな鍋に入るものの、それぞれの仕込みや特徴は違うこと」だと林さんは話す。提供前日に40分程度煮込み、それを冷まして、提供する当日に3時間かけて煮込んでいく。「冷ますときに味が入っていくので時間はかかるが、この手間が本当に大切」と話す。

 カウンターと5人席を合わせて17席のこぢんまりとした店内は、「居酒屋ではないが、カジュアルさも大切にして、ちょっと帰りに寄りたくなる店」を目指しているという。

 京都をはじめ全国の社寺や料理店に昆布やかつお節を納める「うね乃」のだしを使うが、林さんの要望に合わせて2種類のだしをオーダーした。一つはカツオのだしで、おでんに主に使う。もう一つはイワシ、サバ、ウルメイワシのブレンドで、濃い目のだしは親子丼などで使う。

 おでんの内容は20種類ほどを用意している。各種の献立の中で「お薦め」は「大根」(38香港ドル)で、とろろ昆布を載せてしっかりとだしの味を感じることができるようにして提供する。ほかにも自家製の「ひろうす」「つくね」などのほか、残暑が続く香港に向けてはトマトを冷やしおでんとして提供するなど工夫を凝らす。

 懐石出身であることの腕を生かし一品料理も充実させたという。濃厚なだしを使い、あんかけにしてショウガの香りを利かせる茶わん蒸し(30香港ドル)のほか、イカの酒盗あえ(88香港ドル)は、通常はカツオを使うが同店ではタイを使う。牛筋煮込み(48香港ドル)は、ショウガとネギで2~3回炊き、ドロドロなものではなく、あっさりと食べることができるようにした。ほかにも「親子丼」(52香港ドル)や、うどん(50香港ドル)など〆のメニューでも、しっかり「だし」を味わうことができるメニューを並べる。

 「おでんは最も旬が楽しめる」と話す林さん。今後は京都のおでんやであることを生かすためにも、えび芋や聖護院かぶらなど、京都の食材を生かしたメニューを増やしていく予定だ。

 営業時間は18時~24時。

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