香港政府は5月31日、「疫苗通行證(Vaccine Pass)/ワクチンパス」の第3段階の運用を始めた。香港の経済・社会活動はワクチン接種を基本としているが、現時点ではその最終段階の措置となる。
香港は10日現在、検査による陽性反応を示した人は121万7510人、最終確定した累計感染者は33万3247人、新規感染者は535人、うち47人は海外からの輸入症例だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が671万8986人(92.3%)、2回目が637万7843人(87.6%)、3回目が413万5773人(60.9%)、4回目が12万4965回となっている。
香港政府は3段階に分けてワクチンパス政策を推進することを2月21日に発表。ワクチンを打たなければレストランや商業施設などに入ることができないため、事実上のワクチン接種義務化というものだった。
第1弾は2月24日~4月29日、第2弾が4月30日~5月30日に実施された。第3段階は元々6月末の開始予定だったが5月31日からと約1カ月繰り上げた。
今回の第3弾では、12~17歳は2回接種から6カ月未満の人は2回の接種のみだが、2回目の接種から6カ月以上経過した人は3回目の接種が求められる。18歳以上も12~17歳と同じルールが適用される。
12歳以上の新型コロナ感染者については、回復後6カ月未満の人はワクチンの接種完了の要求はしない。2回または3回のワクチン接種を終えたものの、ブレークスルー感染した場合は、自然免疫とワクチンによる免疫の両方を持っていることから、ワクチン接種を求めない。
新型コロナに感染し回復後6カ月を経過し、かつ一度もワクチンを接種したことがない人は6カ月以内に1回目を、1回目終了から6カ月以内に2回目を求める。1度だけ接種し2回目を終えていない人は2回目の接種を求める。
施設に入場する際にQRコードを読み取った後に各自のQRコードのスキャンが必要とされるのは、レストラン・バー、ゲームセンター、浴室、フィットネスセンター、屋内の娯楽場所、パーティールーム、美容院、クラブハウス、ナイトクラブ、カラオケ、麻雀、マッサージ、屋外の体育施設、スイミングプール、クルーズ船、屋内イベント会場、理髪店、宗教施設。一方、ショッピングモール、デパート、街市、スーパーマーケットでは出入り口に設置されている機械にQRコードをかざすことのみ要求される。
現時点で3回目の接種率は1回目や2回目の接種率と比べると高くないうえ、香港当局は第3弾の運用を厳しくする考えで、飲食関係者は客数が減るのではないかと懸念を示している。香港では18歳以上を対象に4回目の接種も始まっているが、ワクチンパスにおいて4回目の適用があるかどうかは現時点では不明。