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日本舞踊「若柳流香の会」が香港に新拠点 灣仔に新スタジオ、名取輩出も

会を率いる若柳智香さんと名取たち

会を率いる若柳智香さんと名取たち

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 香港を拠点に活動する「日本舞踊若柳流香の会」が2月13日、灣仔に新しい稽古場となるスタジオ(401, 4th Floor, Anton Building, No1, Anton Street , Wan Chai)を開設した。金鐘のパシフィックプレイス3の出口からほど近い場所。1200スクエアフィートのスタジオは壁面にミラーを配する。

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 同会は1999年、日本人4人でスタートした。会を率いる若柳智香さんは「最初は水の流れのように輪ができてきた。そのうちに師匠に恩返ししたいと思うようになった」と開設時を振り返る。当初5年ほどは、生徒が朝から申請に並び政府の施設を借りて練習場所を確保していたこともあったという。その後15年間は佐敦のスタジオを間借りし、そこを拠点に活動を続けてきた。

 2016年、香港から初の「名取」が7人誕生。名取は、一定期間修行して、基準以上の技量を習得したと認められた弟子に対し、流派特有の名前を与えるもの。2020年、さらに2人の「名取」を輩出し、今年もさらに増え、11人が名取となった。コロナ禍で同会の運営も厳しいものとなり、60人いた生徒が一時的に10人まで減り、会の継続も難しいのではないかという危機感もあったという。そうした際、若柳さんを支えたのは、名取を含む弟子たちの存在だった。「中途半端で終わらせたくない」という若柳さんの思いもあった。オープンにこぎ着けたスタジオには名取の木札が掲げられている。木札を並べるのも、若柳さんの長年の願いでもあった。

 「香港や香港人は本当に豊かになった」と若柳さんは話す。物理的なものだけでなく、心の部分を指すという。「香港で、ものを見たときに感じる心をさらに育てたい。踊りには、確かに生まれ持ったセンスが影響するが、訓練でそれ以上にすることはできる」と話し、香港における日本舞踊の裾野を広げてきた。

 香の会は現在、日本人5人を含む45人が所属し稽古を重ねているが、子どもが5人しかいないうえ、インターナショナルスクールに通っている子ばかりだという。「外から見た日本、海外人から見た日本の方が良さを感じられるのかも」と、その理由を明かす。

 同会では年1回の春の発表会に向け弟子たちが研さんを積む。2014年には、在香港日本国総領事館との共催で日港文化交流を目的とした「日本伝統芸能 日本舞踊の心と技」を開催。日本舞踊五大流派、若柳流四世家元・若柳壽延さんを香港に迎え、講演や舞踊発表、文化交流などを実現した。目標として2025年春に大きな公演を開きたいと意気込む。

 「全体の踊る人口を増やすためには、ピアノやバイオリンなどの稽古事と同じように学校での課外活動としての評価につながる土壌に乗せなければ。香港だからこそアジアの人も集めてコンクールみたいなものがあってもいいかと」と若柳さん。「若柳流の国際部のようなものにひもづく香港支部としての機能も持たせていきたい」とも意気込む。

 レッスンは1時間を基本とし、料金は、個人レッスン=1,800香港ドル(4回)、500香港ドル(1回)、グループレッスン=1,200香港ドル(4回)。年1回の発表会に加え、日本の文化交流関連のイベントに出演する機会もある。

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