香港政府は「立ち乗り電動スクーター」と「電動自転車」の合法化に向けて研究を進めているが、早ければ2023年12月をめどに立法化したい考え。実証実験が新界(New Territories)が終わり、その結果を踏まえて新しいモビリティー時代に対応した法律を制定していく。
日本で提供されている「LUUP」によるシェアサイクルや電動キックボード
日本では4月1日、自転車に乗る人はヘルメット着用の努力義務化が始まったが、香港で自転車に乗るのはサイクリングロードが整備されている新界の住人が多い。時代の進化とともに新しい移動手段となるものが開発されてきた。その一つが「立ち乗り電動スクーター」だ。「電動キックボード」「eスクーター」と呼ばれているもので、日本では「LUUP」がシェアサイクルやシェア電動キックボードのサービスを提供している。「電動自転車」は、ペダルを扱いでも、ペダルを扱がなくても走行可能な自転車。日本では「電動アシスト自転車」が普及しているが、これは時速24キロを超えるとアシスト機能がなくなり、自分でペダルをこぐしかなくなるため、電動自転車とは少々異なる。
日本では、新型モビリティーの扱いについて長らく原付きとほぼ同じ扱いをしてきたが、最近はその一部を免許不要にするなどの動きがある。一方、香港の法律では、車道、歩道、サイクリングロードでの使用が禁止されており、違反した場合は5,000香港ドルの罰金、3カ月の懲役が科せられるにもかかわらず、人気が高まっているのが現状。
こうした状況を受け、香港政府は法制化に向けて動き出した。方向としては、サイクリングロードのみでの使用を認め、將軍澳(Tseung Kwan O)と科学園(Science Park)がある白石角(Pak Shek Kok)にあるサイクリングロードで実証実験を行った。立ち乗り電動スクーターと電動自転車の乗り入れを認めるが、ミニセグウェイと呼ばれる「ホバーボード」や「電動スケートボード」はブレーキなどが装備されていないとしてサイクリングロードでの利用を認めない。この実験で、どのような事故が発生したのかなどを調べ、早くて2023年12月には立法化したい考え。
法制化に向けては、立ち乗り電動スクーターにおいては、重さは20キロ以下、幅は65センチ以内とし、最高速度は25キロとする。25キロを超えるとリミッターが発動し電気供給が切断され、それ以上スピードが出ないようにさせる。併せて、車両には白いヘッドライト、赤いテールランプ、後部には赤い色の反射鏡を付けるほか、効果的なブレーキシステムを備え、バッテリー規格への準拠も必要とする。