日本から輸入した魚や貝類を扱う鮮魚専門店「Uoya ZEN」(108 Wellington St., Central, Hong Kong TEL 2423 2008)が7月21日、弁当やサラダなどの新商品を発売した。
香港政府はALPS処理水放出後に10都県からの水産物の輸入を禁止すると表明したため、香港でも日本の業界類への影響を心配する声がある。現在は香港政府が時折スポット的な検査を行っているものの、日本を朝出た魚が夕方には香港のすし店に届く流通網は概ね確保されている。同店を経営する、香港で本マグロを中心に水産物を扱う食品卸「ゼンフーズグループ」も流通に関して、まだ直接的な影響は受けていないという。
今回、弁当の販売に踏み切った背景には、「香港内には日本の弁当を扱っているところが多いが、日本の駅弁のようなスタイルの弁当は少なかった」と日高勝利さんは話す。同社で営業を担当する横手舞さんがもともと料理を教える経験もあり、横手さんの目線で「彩りがあって華やかな弁当」を作ってもらおうという社内の後押しもあり、新商品を考案した。横20センチ、縦10センチの小ぶりの「鮭(さけ)」「蟹(かに)」など弁当箱に熨斗(のし)をかけ、輪ゴムで止めて並べる。「日本の弁当の最大の特徴は彩り」と話すように、メインの食材に加え、柴(しば)漬け、卵焼き、インゲンなどで構成する。
種類は全部で5種類を用意した。珍しいアイテムは「鮎(あゆ)の甘露煮」弁当(68香港ドル)で、頭から尻尾まで丸ごと食べられるアユ1尾をご飯の上にのせた。米は福井産のコシヒカリを使い、昆布だしを使って炊く。「鮎」弁当はこのご飯にかば焼きのタレをかけ炊き込んだもの。ほかにも「一番人気」だという「鰻(うなぎ)」(120香港ドル)にも同様のご飯を採用。ウナギが人気の理由は、香港では珍しく店頭でさばいた生の日本産ウナギを店に併設した調理場で焼いているため。表を6分、裏を6分焼いて、かば焼きで提供するウナギは「柔らかすぎず、しっかりとウナギの味が楽しめる」とリピーターも多いという。30日の「土用の丑(うし)」の日には説明するPOPも立て、多くの人が手に取った。
「鮭弁当」(75香港ドル)には2種類のサケを採用。香港でも鮭弁当はあるものの、日本で食べるような紅ザケを塩焼きしたものは少ない。今回はこの紅ザケの塩焼きと通常のサケを2色並べてご飯の上にのせた。「蟹弁当」(110香港ドル)にもズワイガニのカニ身とほぐし身の2種類をのせ、食感の違いを楽しめるようにして提供する。ほかに「鯛(たい)弁当」(82香港ドル)には、愛媛のミカンダイを使う。
もう一点の新商品は「サラダ」。コンビニエンスストアで売っているような平たいプラステックパッケージではなく、片手で持って歩けるドリンクカップスタイルのもの。同店を構える中環エリアにはヨガやジムに行くような格好で街を闊歩(かっぽ)する人も多く、フラッと店に立ち寄る客からの要望もあり実現したという。同社らしさを生かし、サラダはオリジナル(22香港ドル)のほか、サーモン(36香港ドル)、ホタテ貝柱(38香港ドル)、マグロ(36香港ドル)を用意。ドレッシングもシーザードレッシング、ユズ、韓国風、ゴマの4種類を用意する。オリジナルと刺し身1パックを購入するような客もいると言い、「健康志向で、ジムの行き帰りに立ち寄るなどの需要にも応えたいという思いから販売を始めた」と日高さんは話す。
弁当はについては当面、1日の販売目標を各20個ずつ計100個とし、宅配アプリ「Deliveroo(デリバルー)」のほか、企業向けに配送などにも応じる予定。
営業時間は11時~22時(日曜は21時まで)。