香港を拠点にアジア市場を対象にオンラインで旅行商品販売を展開する「Klook」が7月、独自調査の結果を発表した。「今後の旅行の計画と予約方法や理由」を調査する目的で、同社が昨年12月に実施した年次調査の中から、さらに18歳から59歳以上の香港人3412人を対象に今年6月にオンラインで調査したもの。
日本政府観光局(JNTO)が発表した6月の訪日香港人数(推計値)でも、延べ18万6300人を記録し、 2019 年同月比 では、89.1%まで回復している重要市場。海外旅行の概念がない香港では今年の前半から「報復性旅遊(リベンジ旅行)」という言葉を使い、長い間抑えられていた旅行への衝動を満たしてきた。
同調査は、2023年6月~2024年5月の間の海外旅行計画、消費嗜好(しこう)、予約方法、予約理由などに焦点を当て、質問を設定した。併せて、香港の地元観光についても調査した。
主なトレンドとして、「回答した香港人の96%がこの1年で海外旅行を計画している」という結果になった。コロナが明け、海外旅行は増加傾向にある。さらに回答者の69%の回答者が2~4回の旅行を計画しており、昨年調査の33%から2回以上増えた。3回以上の旅行を計画している回答者は40%。香港人の66%が旅行したい国として「日本」を挙げている。2位は台湾、3位はタイ、4位は韓国と続く。5位には以前はランクインしていなかったヨーロッパが前年比約2.5倍(247%)で入った。
旅行期間は、回答者の69%が、4~7日間を希望していると回答。8日~15日を希望する人も24%に増え、18歳~26歳が最も顕著で、香港人の平均旅行日数が増加傾向にあることを示している。回答者の79%が旅行商品をオンラインで予約していることも判明。その内訳は、航空券(71%)、アトラクションやパークチケット(60%)、飲食(33%)と続く。
予約数は、2019年と比較して140%増加し、今年第2四半期も前年同期比で47%の増加を記録した。特に今年はパンデミック流行後初の夏休みとなったためで、海外旅行への意欲は来年も高まり続けると見られる。
「1年の旅行でいくら使うつもりか」の問いに、回答者の72%が、来年は1人当たりの支出を増やすとし、「35%が年間平均3万ドルを海外旅行に費やす」と答えた。注目すべきは回答者の3分の1以上(34%)が、1人1回当たり、1万ドル以上の支出を計画している点。18~26歳の若者は、他の世代よりも海外旅行のための予算を確保する傾向が強くなったことも示されている。1回の旅行で1万ドル以上を費やす人の数は227%増加した。
支出は増えても、香港人たちが慎重な一面もある。回答者の92%が、旅行計画に影響を与えたり、旅行計画を変更したりするような商品には注意を払っていることが分かる。回答者の79%が、予約時に最も重視するのは価格と答えた。保険の加入も増えている。
さらに「より計画的な旅行」をするようになっている傾向が見られる。回答者の3分の1以上(34%)が4週間~1週間前までに、より詳細に計画している。
同調査では、香港人の海外旅行の目的についても調べており、「より深い旅行」が新たな常識になりつつあることが分かった。ショッピングはもはや第一の目的ではなく、最も重要な体験は「食事」(78%)であり、「観光」(62%)、「ショッピング」(58%)、「リラックス」(58%)、「現地の文化を知る」(24%)と続く。回答者の64%が、疫病が流行した後は、もっと深く掘り下げたツアーや地元での体験に挑戦してみたいと考えており、「文化体験」(53%)、「自然・アウトドア体験」(49%)、「エコロジー・自然保護関連」(41 %)に興味を示している。
香港人の90%が、アウトバウンド旅行が増えても地元での楽しみを減らさないことも明らかになった。香港地元の観光関連産業が回復しているが、回答者の88%が地元ツアーへの支出はアウトバウンドの影響を受けないと答えている。83%が、流行後に地元観光をより意識し重視するようになったと回答。調査では、香港人が最も好きなアクティビティーは食事(55%)。次いでステイケーション(44%)、アトラクションや公園(41%)、コンサートや展示会(33%)、宿泊施設(33%)と続く。このうち79%が、透明性の高いオンライン旅行プラットフォームを通じて予約した。
Klookによると、「私たちのプラットフォームを通じた香港の飲食の予約数は、前四半期比で19%増えている。さらに母の日の予約は前年同期比で(+370%)と大きく数字を伸ばした。ホテルのビュッフェが最も人気」だという。
今年同社はテイラー・スウィフトの「The Eras」のコンサートチケットと宿泊パッケージを販売する公式旅行パートナーとなり、シンガポールで行われたライブチケットと宿泊パッケージを販売したところ、香港市場でのコンサートチケットは6時間以内に完売し、市場の反応は素早かった。「今後もコンサートと旅行プラットフォームの組み合わせの可能性を追求していきたい」という。