香港と日本の食文化が融合した香港式創作ラーメン店「新・麺舎」(Shop No. 260, 2/F, Castle Peak Rd ,Yuen Long TEL 2881 8899)が8月25日、元朗廣場にオープンした。
同店はオープンに当たり、「香港人の味覚や嗜好に応える新しいラーメン店の確立を目指そう」と研究チームを立ち上げたという。香港人が好むラーメンの味に挑戦しようと、豚ショウガ、豚の脂身、アヒルのむね肉、アヒルのタレなど地元の食材を取り入れたラーメンを完成させた。「日本のラーメンは濃く、弾力のある食感で、香港の麺はさっぱりとした口当たりが特徴」という考えから、一番難しかった点は「香港スタイルの要素をどう取り入れるか」だった。例えば、「香港にある日本のラーメンは豚の背脂を使うことも多いが、ラードのみを使って作る」など工夫を重ねた。開発には6カ月~9カ月を要した。「それぞれの食材、ラーメン、スープのペアリングを慎重に検討し、一杯一杯のラーメンが独自の個性を持ち、高いコストパフォーマンスを実現できた」という。
入り口にはのれんをかけ、店内は日本のミニマリズムのスタイルで木目調の茶色と白を使って仕上げ、カウンターを含め32席を用意した。白色の壁に茶色の棚を置いて、そこに植物や置物を並べるなど、「日本風の空間にいながら香港式ラーメンを楽しむことができるようにした」という。
ラーメンとスープベースの調理方法は、主に日本のラーメン要素の影響を受けている。スープベースは何度も試行錯誤を繰り返し、「とんこつ」と「チキンブイヨン」の組み合わせを基本に作った。全てのラーメンが「豚骨白湯」「鶏清湯」のいずれかをベースにしたもので、「豚骨白湯」は鶏、豚、豚皮、魚、野菜を99~100度で9時間煮込む。クリアスープの「鶏清湯」も、鶏肉と豚の皮を94~96度の湯で8時間煮込むことで「繊細な味に仕上がる」という。
香港ラーメンのメニューは全部で6種類を用意した。「很紅(とても赤い)」(68香港ドル)は、豚骨スープで、26種類の具材をブレンドした自家製の麻辣醤(マーラージャン)を約2時間炒めて激辛スープベースを作る。トッピングはじっくり煮込んだ柔らかい鴨むね肉、鴨ダレ、自家製の赤かぶとレンコンの漬物に半熟卵をのせる。麺のベースは東京スタイルのラーメンで、「モチモチしているため、いろいろな食感が楽しめる」という。スープは辛さの後にしびれるような感覚が加わり、「味覚に挑戦的な辛いもの好きな人に向けて作った」とも。
「很地(超ローカル)」(58香港ドル)は、チャーシュー、豚骨スープをはじめ、地元の食材をふんだんに取り入れる。スープは、豚の脂身とネギ・ニンニク油で、「香りに負けないコクを追加した」という。チャーシューは塩こうじとみりんに漬け込み、2時間30分かけてじっくりと煮込んだ後、炙(あぶ)って仕上げている。このラーメンには、東京風の麺を組み合わせ、アクセントにヤングコーンと半熟卵をのせた。
香港人はトマトベースの麺類も好むことから、「很濃」(68香港ドル)は、トマトスープのベースを作る際に水を加えず、無加水調理法で作り濃厚さを出して札幌ラーメンと合わせ、そこに柔らかな牛カルビと自家製チーズバゲットのスライスものせる。「很綠」(62香港ドル)はパクチーを利かせたラーメンで、緑色を出すために、ほうれん草や、ケールも使ってスープを作り、そこにじっくり煮込んだ鶏むね肉、カリカリに揚げた「豆卜」と呼ぶ油揚げ、カリフラワーとピータン豆腐を加え、よりローカル色が強いメニューに細麺を合わせた。
営業時間は11時~22時。今後、多店舗出店も計画しているという。