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香港国際空港-東涌を結ぶ無人の交通システム計画 2028年開業目指す

現在香港政府が計画中の無人の新交通システム

現在香港政府が計画中の無人の新交通システム

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 機場管理局(AA)は離島区議会に対して8月30日、香港国際空港(HKIA)と東涌(Tong Chung)を結ぶ無人の新交通システム「「機場東涌專道(Airport Tung Chung Link)」の詳細を提出した。HKIAとHKIAに隣接し現在建設中の大型ショッピングモール航天城(Sky City)、港珠澳大橋(HZMB)に関係する出入境管理所、東涌の中心部を結ぶ路線で、早ければ2028年に開通する。

アジアワールドエキスポ周辺のイメージ図

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 同計画はAAが2019年にHKIAと周辺についての開発計画「機場城市(Airport City)」を政府に提出し、2020年の林鄭月娥(Carrie Lam)前行政長官の施政方針演説に盛り込まれた。

 東涌はHKIAと距離的に近く、多くの航空業界関係者が住んでいる。しかし、東涌とHKIAを結ぶ鉄道路線はないため、東涌住民が空港に向かうにはバスに乗るのが基本だった。ただし、バスの本数に対して空港で働く人が多いため、通勤時間に40分ほどかかる場合もあり、一部の住民はわざわざ青衣(Tsing Yi)に向かい機場快線(Airport Express)に乗り換える人もいる状況だ。タクシーもあるが、香港のタクシーは比較的安いとはいえ、毎日通勤に使うのは現実的ではない。つまり、地理的に近いというメリットをあまり生かせていない状況だった。

 HKIAとしては空港の隣に2024年に開業する大型商業施設である航天城を起点・終点とし、その東側にある出入境管理所と東涌中心部をそれぞれ結ぶ形で路線網を作り上げる計画だ。具体的には、航天城と東涌中心部を結ぶ路線、航天城と出入境管理所を結ぶ路線、出入境管理所と東涌中心部の3路線を考えている。航天城・出入境管理所と東涌の所用時間は8~10分、航天城と出入境管理所の時間は2、3分。全て高架橋で、全長は3.8キロ、途中に駅を3カ所ほど建設する予定となっているほか、路線沿いには歩道や休憩所も敷設する。

 具体的な交通車両については、無人運転の交通機関で、鉄道やモノレールという形ではなく、個人用高速輸送システム(PRT)と呼ばれる、トラムを小型化しかつ比較的高速で走行することが可能なものなどを考えている。計画が順調に進めば2025年に起工し、2028年に運航を始めたい考え。

 交通システム以外でも、HKIAとしては空港機能の充実を図りたい考えで、駐車スペース6000台分を新たに確保。航天城の利用促進を図るほか、気軽に車でHKIAに来てもらい海外への渡航している間、長期間駐車してもらうことも想定している。利便性を高めるため駐車してから空港ターミナルへの移動は、駐車場利用者専用の通路とターミナルを創設し、そのままチェックインをすることが可能にできるようにする計画もある。

 これに合わせ、周辺の亞洲國際博覽館(AWE)の第2期の建設計画も進める予定で、大きさは5万2000メートル。これが完成すれば2つ合わせて10万平方メートルを超え、アジア屈指のコンサートやイベント施設となる。

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