「第48回香港国際映画祭(HKIFF)」が3月28日、開幕した。12 日間にわたって行われ、オープニングは區嘉●(ペトラ・アウ)さん主演の「從今以後(All Shall Be Well)」が務めるほか、クロージングには松村北斗さん、上白石萌音さんが出演する「夜明けのすべて」の上映が決まった。
HKIFFはコロナ禍の影響を受け、通常3~4月開催だが2022年は8月に延期され、2023年は開催期間がそれまでよりも短くなるなど厳しい開催環境が続いていた。2024年の開催期間は、昨年より1日短くなった一方で、コロナ禍期間中はオンライン上映が多かったものの、今年からは2019年以来初めて全ての映画館で開催されることになった。HKIFF側も「伝統的なやり方」で開催すると表明しており、大スクリーン、優れた音響で映画を鑑賞してほしいという思いが実現した。
世界62カ国・地域から約190作品が7つの会場で公開される。そのうちワールドプレミアが5、インターナショナルプレミアが6、アジアンプレミアが64となっており、これは昨年とほぼ同じ水準となる。
オープニング映画の「從今以後」はベルリン国際映画祭でテディ賞を受賞した作品。40年連れ添ったアンジーとパットの同性愛カップル。パットが不慮の死を迎え、アンジーが法的な保護を受けられず、家などすべてを失うリスクを抱える。香港社会におけるLGBTQ+の問題などにスポットライトを当てる。クロージングの「夜明けのすべて」は、月にたった一度のPMS(月経前症候群)で感情を抑えられず人間関係がうまくいかない美紗と、パニック障がいに苦しむ山添。互いに病気に苦しんでいることを2人は、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる…。
「夜明けのすべて」以外でも、大美賀均さん、西川玲さんが出演した「悪は存在しない」は、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したほか、監督の浜口龍介さんと音楽を担当した石橋英子さんは「ドライブ・マイ・カー」に続いて再びタッグを組む。ほかにも工藤梨穗監督による「裸足(はだし)で鳴らしてみせろ」、北野武監督の「首」、岡田将生主演の「ゴールド・ボーイ」、想田和弘「五香宮の猫」など多彩な日本映画を上映する。
2023年は伊丹十三に焦点を当てた香港国際映画祭だが、今年は陳果(フルーツ・チャン)を取り上げる。「香港返還3部作」の第1作目で香港のアカデミー賞である金像奨で最優秀作品賞を受賞した出世作「香港製造(Made in Hong Kong/メイド・イン・ホンコン)」、主演の曾美慧孜(クロエ・マーヤン)が金像奨で主演女優賞を獲得した「三夫(Three Husbands/三人の夫)」など10本を上映する。
アマンダ・サイフリッドさんが主演する「Seven Veils」はアジアプレミアの作品であり日本では公開されていない。ストーリーは、オペラ「サロメ」を題材したもので、主人公の演出家が、過去の虐待された記憶をオペラ作品に反映していくが、その時に自分と向き合っていく物語である。このほかにも、韓国、中国、フランス、アルゼンチン、チリ、ポーランドなど世界中の映画を上映する。
料金は、上映会場、作品、曜日、時間帯、オープニング映画などによって異なり、価格は55~150香港ドル。回数券も用意し、チケットを10~19枚まとめて買うと10%引き、20~40枚買うと15%引きとなる。VIPパスは5,000香港ドル。チケットは、城市售票網(URBTIX)やHKIFFの公式サイトで扱う。4月8日まで。
●=雨かんむりに文