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香港でプラスチック製品の制限始まる テイクアウト商品は容認も

22日から各飲食店がプラスティック製品の使用を減らす取り組みを始めた香港

22日から各飲食店がプラスティック製品の使用を減らす取り組みを始めた香港

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 深刻化する環境問題に関連し、昨年10月香港立法会を通過したプラスチック製品の扱いを大きく制限する条例案「2023年産品環保責任(修訂)條例草案(PRODUCT ECO-RESPONSIBILITY (AMENDMENT) BILL 2023)」の第1段が4月22日、スタートした。

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 香港はこれまで、ごみの分別収集しないことなどから、ごみの減量化が大きな問題となっていた。そこで、プラスチック製品一部の販売または提供を禁止とするほか、香港人が強めの拒絶反応を示すごみ袋有料化を今後実施することでごみを減らす方向にかじを切る。グリーンピースによると、この法律により1日当たり266トンのプラスチック製品が削減可能と試算している。

 法律は2段階に分けて運用するが、第1段階はアースデーに合わせて4月22日から、第2段階は、具体的な日付はまだ確定していないものの2025年実施を目標としている。キーとなる判断基準は、製品にプラスチック成分が使われているかどうかと、代用品があるかどうかによる。

 例えば、香港市民で大きな話題になったのが販売と無償提供が禁止になった綿棒の扱い。「購入できなくなるのでは」といううわさが広がり、同草案に関する公式サイトのページでも1行目で詳細に言及するほどだった。厳密には、綿棒の持ち手がプラスチックの製品は販売禁止だが、紙、木、竹製であれば販売可能。歯ブラシ、フロスや歯間ブラシも大きなトピックとなっており、これらは代用品がないため販売は認められることになった。

 規制は、「飲食業界」と「その他プラスチック製品」の2つに区分される。飲食業界において第1段階で禁止されるのは、発泡スチロール製の容器のほか、プラスチック製のストロー、かき混ぜ棒、カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン)、皿については、販売、テイクアウト、店内飲食は不可となる。一方、使い捨てのプラスチック製カップ、カップのふた、容器、容器用のふたは、販売とテイクアウトでは認められ、店内飲食では禁止される。

 その他プラスチック製品は、さらに3パターンに分かれる。1つ目として「販売と無償提供が禁止」されるのは、第1段階では持ち手がプラスチック製の綿棒、雨傘用ビニール袋、スイーツはおつまみなどに提供されるプラスチック製のつまようじ、スポーツ応援などで使われるスティックバルーン、メガホンや応援バッドなどのグッズ、蛍光棒、誕生日パーティーなどに使われるハットなどを含む。

 2つ目は「販売が認められ、無償提供禁止」の製品で、香港ではチキンなどの提供の際に配布してきた非医療用の透明な使い捨て手袋と促販用のポケットティッシュが、これに当たる。

 3つ目は「有償であれば提供可能」の製品で、ホテルやゲストハウスでのアメニティー関連が多く、プラスチックが持ち手の歯ブラシ、プラスチック包装の歯磨き粉、シャワーハット、シャワーキャップ、カミソリ、やすり、くしのほか、プラスチック容器に入っているシャンプー、シャワージェル、コンディショナー、ボディーローション、ハンドソープ、客室内で提供されるペットボトルの水が適用される。これに伴い、ホテルでは持ち手の部分に木を使った歯ブラシを提供したり、水は瓶の提供に変更したりするほか、1香港ドルを徴収し提供するホテルも多い。

 フードチェーン大手の大家楽(Cafe de Cral)は、テイクアウトについては非プラスチック製の容器に変更し、1香港ドルを徴収する。大快活(Fairwood)もテイクアウトの場合は1ドルを徴収するが、2香港ドルを支払えばステンレス製を提供できるようにした。

 ネットやSNS上の世論について地域経済のデータを分析する「源大數據」は、この措置に関して4月12日~4月18日、フェイスブック、インスタグラム、掲示板に掲載された1351の投稿と約1万2000の意見を分析した。それによると賛成が39%、反対が36%、中立が26%で、ほぼ意見が真っ二つに分かれていることが明らかになっている。

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