香港におけるファッションやクリエーティブ産業の促進を目的に「香港インターナショナル・ホームテキスタイル&ファニシング・フェア」が4月20~23日、灣仔の香港コンベンション&エキシビションセンターで開催された。主催は香港貿易発展局。
今年は、サウジアラビアとスリランカからの初出展を含む16の国と地域から1750の出展者が集まった。12のパビリオンを設け、中国本土、台湾、インド、日本、タイの文化的要素を取り入れたホームファニシングを展示。台湾パビリオンでは、キッチン用品、コーヒーカップ、インテリア家具、アウトドア製品など、さまざまなカテゴリーの製品を展示し、インドパビリオンでは、家庭用テキスタイルやインテリア製品も紹介した。100の国と地域から約2万4000人のバイヤーが集まり、地元香港以外のバイヤーは、主に中国本土、日本、インドネシア、台湾、米国から訪れた人が多い。
「文化・クリエーティブコーナー」と題した区画には、中国本土、香港、台湾、日本、フィリピンから50を超える出展者とデザインブランドが参加。日本からは、青森県、山形県、茨城県が出展。陶器、陶磁器、木製漆器などの伝統工芸品を紹介した。
初の出展となった青森県は事業社も直接会場でアプローチに臨んだ。青森県はリサイクルをの概念の意味も持たせた「Re」と名付けたプロジェクトの下、4事業社の商品を紹介。津軽びいどろを展開する北洋硝子(ガラス)の商品は既に香港でも人気のかき氷店の器に採用されるなど流通がスタートしている。もともと海上で使っていた浮(う)きのガラス玉が時代の変遷とともに使われなくなったことから、これを回収してグラスや食器類などを作っている。
廃材となるリンゴの木を使い木工製品を作る木村木品製作所は、青森の土偶から発想を得た猫の置物や小皿などを展示。津軽塗をあしらったアクセサリーを販売するKABAは、津軽塗を作る際に使う漆(うるし)がもともと再生可能なものとしての位置づけがあることからも、「Re」プロジェクトとしてピアスやネックレスを紹介した。
昨年から青森県はアート分野においても香港との取り組みや交流を深め、昨年度は香港やアジアのテキスタイルの文化遺産を承継するために設立されたミュージアム「CHAT」のメンバーを青森に招聘(しょうへい)。さきおりCHICKAを主宰する三好千佳さんは「青森でCHATの関係者からテキスタイルは派手な色よりも黒が入ったものの方が日本らしさを感じる」とアドバイスされたのを受け、黒を縦糸に使った南部裂織のアイテムを用意した。がま口やバッグだけでなく、「布として仕入れることで香港で独自のスタイルで作りたい」という希望などもあったという。
再利用、再生、サステナビリティーなどのテーマは、22日にプラスチック商品の提供制限がスタートした香港でも注目度が高い。香港のUphold Living社が提供した持ち運び可能な折り畳み式カトラリーセットは、使い捨てカトラリーに代わる持続可能なカトラリーとして展開する。同社のエリック・トン(Eric Tong)取締役は「ドイツのバイヤーがドイツとイギリスでの販売代理店となり、13万6,500米ドル相当の1万セットを発注してくれた。韓国、シンガポール、アメリカと、台湾、香港でもバイヤー候補が見つかった」と話す。
香港政府は、香港の地域ビジネスハブとしての魅力、貿易・物流ハブ機能を活用して、アジア・大中華圏への販路拡大、市場戦略のノウハウなど、出展者とバイヤーのつながりを促進するための持続可能性、創造的思考、シルバー・エコノミーなど、さまざまなイベントを今後も開催していく予定だという。