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香港からの地方航空路線さらに拡大 悲願の東北・四国にも

香港の訪日大手旅行会社EGLツアーズが開催した、夏季に運航を予定する仙台チャーター便就航の説明会の様子

香港の訪日大手旅行会社EGLツアーズが開催した、夏季に運航を予定する仙台チャーター便就航の説明会の様子

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 香港の訪日大手旅行会社「EGLツアーズ(東瀛遊)」が5月4日、夏季に運航を予定する仙台・徳島チャーター便就航を発表した。同日、団体旅行、個人旅行などの航空券、ツアー商品の販売を始めた。

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 香港からは5月現在、7社10路線が就航し、週412便の直行便が飛んでいる。コロナ禍前に近い形で回復をしているものの、主要都市に向けての便がむしろ増えた形で、地方路線についてはまだ回復した状況とは言えない。

 特に東北エリアについては、仙台直行便があったのは2011年の震災前のことで、その後、青森等に旧正月などの季節チャーターはあったものの基本的には就航のないエリアとなっていた。それでも2023年の統計では、東北の外国人延べ宿泊者数142万1460人泊のうち、香港人は台湾、中国に続く3位で10万1170人を記録している。一方、1位の台湾とは約6倍の差があるなど、「まだ可能性があるエリア」となっていた。

 香港と仙台を結ぶ便は、香港ドラゴン航空が1993年には仙台空港に就航したが、2003年にアジアで猛威を振るった重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響で運休となった。2007年から親会社のキャセイパシフィック航空との日本路線の再編整備に伴い、仙台線が再開。しかし2008年3月に定期便を休止した経緯がある。その後2010年12月に香港との定期チャーター便が2年8カ月ぶりに復活したが、チャーター終了直後震災が起こり、長い時間がたっていた。

 仙台へのチャーター便を運航するのは香港を拠点とする大灣區(グレーター・ベイ)航空で、7月17日から5往復で6日おきに香港から5往復飛ぶ。出発時間は朝の9時台、10時台のため、仙台への到着は14時台、15時台となり、戻りの便も15時台、16時台に仙台を出発し、19時台、20時台に香港に到着する「香港人にとって効率の良いスケジュール」となる。

 今回のチャーター便はEGL社が仕切るもので、このチャーター便に合わせて東北を周遊するコースも4コース用意した。ほかに、個人客やビジネス出張利用などにも利用できるよう、個人に向けての航空券とホテルなどのプランも販売する。

 ツアーは仙台から入り、新潟、福島の五色沼、山形の加茂水族館や最上川下りを経て、銀山温泉、仙台に戻り、松島などを楽しんだ後に最後は三井アウトレットで買い物をするコースや一つ目と同じように仙台から新潟に抜けて山形、秋田まで行き、田沢湖や角館を楽しんだ後に仙台に戻るコース、仙台到着後岩手の花巻温泉に立ち寄り、その後、秋田、青森で十和田湖や奥入瀬渓流などを楽しんだ後に仙台に戻るコースなどを用意する。夏の東北の祭りと重なる時期については、祭りも商品に組み込むツアーもあるが、直行便とは別に祭りにフォーカスした東京から入る商品も販売している。

 四国については、昨年の11月から四国への入り口となっていた高松空港に就航する香港エクスプレスが旅行会社に向けての座席販売を事実上停止したことから、陸の孤島状態が続いていた。ここに風穴を開けるように、徳島空港へのチャーター便を同時期に運航させる。航空会社は同様に大湾区航空で、7月18日から5日ごとに5往復を予定する。

 徳島チャーターのコースは、徳島から香川に入り丸亀でうどんや栗林公園を楽しんだ後、愛媛に抜け、今治タオルや松山城を見学した後、松山から高知に入り四万十川や桂浜水族館、ひろめ市場などで食事をして香港人に人気の「アンパンマン列車」に乗って徳島に戻る四国周遊のパターンと、徳島から淡路島を通り、大阪でユニバーサルスタジオなどを楽しんだ後、岡山で桃狩りをして徳島に戻るパターンなども用意した。関西圏も近いことから、大阪から入り、徳島から出るツアーも販売している。

 チャーター便を運航するに当たり、EGLツアーズの袁文英社長は「仙台便は旅行客にとっても非常にありがたい時間帯を調整できた。東北の各空港は機材の問題や滑走路の問題などもあり、なかなか直行便が難しい中、久しぶりに東北に直行便を飛ばすことができてとてもうれしい」と話し、「四国についても、団体旅行への条件が厳しい環境の中、徳島県の積極的な動きもあり実現した。四国周遊だけのコースもあるし、淡路島、大阪に抜けて岡山で香港人が大好きな白桃狩りをするものもある」と意気込む。

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