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香港政府、非中国籍の永久居民を対象とした中国本土との「回郷証」を発行開始

香港と中国大陸をつなぐイミグレーションの様子

香港と中国大陸をつなぐイミグレーションの様子

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 香港政府は、非中国籍の香港とマカオの永久居民が「回郷証」と呼ばれる「港澳居民来往内地通行証(Mainland Travel Permits for Hong Kong and Macao Residents)」の発行を7月10日より開始する。これにより、中国本土に出入国する際に記入する入国カードへの記入が不要になるほか、自動化ゲートを利用できるようになり、香港と中国の往来時間が大幅に短縮される。

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 政治的に形骸化したと言われている一国二制度だが、中国本土の人は香港に入るときはパスポートが必要。一方、中国籍の香港人が中国本土に入る場合、「回郷証」があればパスポートなしで入国できるカードとして利用されてきた。つまり、中国籍の香港人が中国本土を訪れるのを簡単にするようにした中国本土と香港往復用専用カードである。

 例えば、中国本土に所用がある香港人ビジネスマンのほか、香港生まれ香港育ちでも先祖の墓は中国本土にあるという香港人も少なからずおり、墓参りや中国本土に観光に行く際に活用していた。

 非中国籍で香港の永住権を持つ人(11歳未満を除く)は2024年6月現在、約27万人。例えば、日本人の香港永久居民は香港に出入境する際、日本のパスポートを使わず、香港版マイナンバーカードともいえる永久居民のステータスがあるIDカードを利用することで、日本に出入国するのと同様に簡単に出入境できた。

 日本人における香港から中国本土への移動については、コロナ禍以前はビザなしで14日間の滞在が可能だった。広東省には日系企業が多く進出しているが、一部の日本人ビジネスマンは、住環境や子どもの学校の環境など家族のことを考えて、家族と一緒に香港に住み、中国本土に通勤する日本人ビジネスマンが昔からいたほどだ。

しかし、コロナ禍が広がってからはビザなしでの入国はできなくなった。コロナが落ち着いてからは、深センなどへは「特区旅遊ビザ」のほか、短期出張目的の商業貿易ビザ「Mビザ」、何らかのビザが必要になっていた。

 中国政府は2023年12月にドイツ、フランスなど15日以内の滞在であればビザ渡航を解禁し、その後も対象となる国を増やしているがが、日本はまだ解禁されていない。

 物流と金融のハブである香港と世界の工場である中国本土の関係を考えると、往来が途切れることはない上、香港、マカオ、中国政府は「粤港澳大湾区(Greater Bay Area)」という巨大経済圏構想を打ち出しているほか、香港政府も「北部都會区(Northern Metropolis)」という北部の開発を進めており、今後は香港経済と中国経済の一体化が進む。ただし、香港の政治的な要因から香港の世界的な地位の低下を懸念しており、香港に根を下ろしている人が多い非中国籍=外国籍の永久居民に回郷証の申請資格を与えることで少しでも地位低下を防ぎたいという思いがある。事実、香港政府も多様性や国際性の維持を申請可能にした理由として掲げている。これを手始めに香港に拠点を置いてほしいという思いが垣間見られる。

 申請は大手旅行代理店である香港中国旅行社を通じて行う。用途は、投資、親族訪問、観光、商用、会議、交流などに限られ、就労、学習、取材などで利用することはできない。有効期間は5年で、「1回の滞在は最大90日まで。申請料は260香港ドル。写真を添付した申請書、永久居民のIDカード、有効期限が最低6カ月あるパスポートなど必要書類を提出する。審査時間は約20営業日で、承認者は窓口で受け取る。

 これにより、外国人入境カードの記入、提出が必要なくなるほか、中国側の税関で指紋の登録手続きをすれば、自動化ゲートが利用できるようになる。中国側、香港側とも出入国と出入境手続きが簡素化されることから、所要時間の大幅な短縮が見込まれる。

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