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香港にミシュランすし「宇田津鮨」 アート空間でおまかせ提供

オーナーシェフの宇田津久さん(左)と、香港の店舗の運営を担う料理長の中村浩希さん(右)

オーナーシェフの宇田津久さん(左)と、香港の店舗の運営を担う料理長の中村浩希さん(右)

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 東京・中目黒の住宅街で展開する「宇田津鮨」(G/F, Stable Block, 2A Canton Road, Tsim Sha Tsui)が香港に進出し、8月1日、尖沙咀のFWD HOUSE 1881にオープンした。日本では「アート×すし」をうたうが、香港でも江戸前すしを貫きつつ、アート感覚を採り入れる。

香港産ハーブを使った、スペシャリティの「季節のハーブ巻」

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 店に流れるのは穏やかなジャズ。「音楽があることで、客がよりリラックスしてシェフに話しかけやすくなり、食事をする人同士も話しやすい雰囲気になる」と考える。東京の店と同様、樹齢150年の吉野ヒノキを使う12席のカウンターを設け、コンクリートの壁には現代アートのコレクションを飾り、ギャラリーのような雰囲気を演出。世界各国の著名アーティストの作品を入れ替わり展示するほか、販売も行う。

 オーナーシェフの宇田津久さんの実家は東京都国立市にある食肉販売店。隣にあったすし店からは毎日酢飯や卵焼きの香りがしていて、毎日のように親の目を盗み家を抜け出し、大将からすし店のいろはを教えてもらったという。神田、銀座、西麻布などのすし店で修業し、16年目の2019年に自身の名前を冠した店をオープンした。

 宇田さんは「五感を使ってすしを楽しんでほしい。おいしいものを食べたり飲んだりすることは基本だが、サービス、会話、雰囲気、アート、音楽など、全ての体験を楽しんでほしい」と話す。

 香港の店では、東京の店の副料理長で、東京で13年間働いてきた宇田津さんの弟子でもある中村浩希さんが、料理長として香港の店を率いる。食材の大半は豊洲市場から毎日空輸するが、香港近郊の食材、特にハーブや野菜も採り入れる。

 2種類の酢飯に、東京の店と同じ醸造酢を使う。例えば、ウニは米をのりで包む軍艦や巻物が一般的だが、同店では、のりを薄い衣で揚げ、ご飯の上にのせ、その上にウニをのせる。大トロ燻製(くんせい)は伝統的な漬け汁を使い、マグロをわらで燻(いぶ)すことで独特の香りを出す。提供する時には、さらにスモークを加え、「五感を刺激する」という。

 香港で人気の食材の一つであるアワビは、福岡県糸島産のものを仕入れる。月替わりの特別料理にはホタテの煮付け、マグロの太巻き、イカの握りなども。タルタルソースをかけたアジフライなどの小皿料理も提供する。

 季節のハーブ巻きは、香港の地元産の有機ハーブを使い、魚をハーブで包み込む。ベジタリアンの客にもおまかせ料理を楽しんでもらえるよう考える。
ドリンクは日本酒が中心で、日本から直接仕入れた日本酒をローテーションで組み合わせている。ウニには、アガベのショットやテキーラのソーダ割りやユズ割りなどを合わせる提案も行う。

 サステナビリティーへの関心も高く、ウニによる海藻への被害を防ぐ取り組みなどに関心を寄せ、一度捕獲したウニを養殖水槽に移して、食べ頃になったウニに、うどん店のだしに使われていた海藻などを与えたものも使う。再利用された海藻は珍味に独特の風味を加えるといい、食品廃棄物を減らすことにつながる。魚の全ての部位を最大限に活用し、骨は濃厚なだしを取り、ほかの料理に添えるソースにも使う。

 おまかせの価格は、ランチ=1,580香港ドル、ディナー=2,580香港ドル。営業時間は、ランチ=12時30分、ディナー=18時~・20時30分~。月曜定休。

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