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香港で日本舞踊のイベント 若柳流四世家元・若柳壽延さん来港へ

前回、2018年に若柳流四世家元・若柳壽延さんを香港に迎え開催した新春特別公演の様子

前回、2018年に若柳流四世家元・若柳壽延さんを香港に迎え開催した新春特別公演の様子

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 香港を拠点に活動する「日本舞踊若柳流香の会」が9月20日、九龍灣にあるHKUSpaceのCollegue Theatre(HKU SPACE, Community College, 28 Wang Hoi Road, Kowloon Bay, Kowloon)で「月夜の舞」と題した発表会を開催する。6年ぶりに日本舞踊五大流派、若柳流四世家元・若柳壽延さんを香港に迎え、来年春の大型公演のプレビュー的な位置付けとして開く。

今年3月に開催した、第14回香の会公演の様子

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 演目は、若柳壽延さんによる「老松」で始まり、中秋節と重なることから日本舞踊の演目としてもよく知られる「かちかち山」をモチーフにした「玉兎(たまうさぎ)」なども披露。舞踊発表、インタビュー、家元の舞で構成する。

 若柳壽延さんは日本舞踊五大流派の一つである若柳流三世宗家2代若柳寿童の長男として生まれ、12歳で若柳流四世家元を継承し現在に至る。亡父・三世宗家とともに日本舞踊の紹介に努めてきた。昨年日本舞踊は国の重要無形文化財として指定を受けたが、若柳壽延さんはこれに伴い日本舞踊保存会の構成員として認定された40人のうちの一人。

 日本舞踊はもともと歌舞伎から派生したもの。江戸時代に庶民の娯楽として発展を遂げた歌舞伎は、主にせりふを言いながら振り事を交える芝居の部分と舞踏の部分で構成され、その舞踏の振り付けを担当した振付師が独立して町の師匠となり、日本舞踊を一般の人に教えたのが始まりといわれる。日本舞踊は、日本の四季、人との関わり、感情、生活等を写実に演じ分け、立ち居振る舞い、礼儀作法を重んじ「礼に始まり礼に終わる」日本の心を受け継ぐ。

 香港で若柳流を教授する「香の会」は現在、日本人10人を含む40人が所属し、日本語、広東語で指導する教室を運営する。最近では大学でのワークショップやレクチャー、デモンストレーションを行うほか、発表会を年1回開くなど、日舞を通じて香港を拠点に日本文化を学ぶ場を提供している。

 日本舞踊に関して一定期間修業して、基準以上の技量を習得したと認められた弟子に対し、流派特有の名前を与えることを「名取」というが、香の会で名取になった人は14人。そのうち10人が香港人だという。香の会を率いる若柳智香さんは「踊りは生まれ育った環境が大きく影響する」と話し、「日本人はできるかどうか心配になったり、頭で考えたりする傾向もあるが、香港人には不安や迷いがない」と分析。「日本舞踊は日本語が分からなくてもできるものだが、例えば『恥ずかしい』という振りを表現するのに、この絶妙な感覚が分からないと表現ができない」とほほ笑む。「芸術に自分の個性は必要だが、演じるのは時に自分を殺して表現しなければならず、その中で個性を出していくもの」と話す。

 若柳智香さんは「ここに来るのは踊りを学ぶためだけでなく、香港にいると時間に追われることも多く、非日常から放たれて無になる時間を持ってほしい。リラックスできて、豊かな心を育み、ほっとする場所にしたい」と会の意義を語る。公演に向けては、「コロナ禍は実は上達できた時間でもあった。名取たちも上達しているので、その成果を発揮してほしい。長く続けてきた多くの香港人の生徒たちも日本でも通用するレベルになってきて、稽古の際でも私が踊りたい踊りの稽古をつけられるようになった。こんな幸せなことはない」と話す。

 19時開場、19時30分開演。約1時間30分のプログラムを予定している。チケットは、300香港ドル、200香港ドル、100香港ドル。

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