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香港のコンビニで長崎から逆輸入の「鶏蛋仔」販売 嬉野茶フレーバーも

香港人の陳家祺さんが長崎で展開する鶏蛋仔の店のポップアップ販売がOK便利店旺角碧街店でスタートした

香港人の陳家祺さんが長崎で展開する鶏蛋仔の店のポップアップ販売がOK便利店旺角碧街店でスタートした

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 香港のコンビニエンスストア「OK便利店(サークルK)」旺角碧街店で9月2日、香港で人気のソウルフード「鶏蛋仔」の販売が始まった。

一番人気のクリスピー&チーズは最後にハチミツをかけて完成

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 佐世保で生活する香港人の陳家祺さんが展開する店のポップアップとして展開するもので、5月に●箕湾のカフェでのポップアップ出店を経て、OK便利店のテイクアウト「hot&in」コーナーの一部で展開している。現在香港には、388店舗のOK便利店があるが、その1店舗の軒先で展開する。店頭での販売を検討していたサークルKと、香港でも展開してみたいと思っていた陳さんの思いが一致して実現したという。

 鶏蛋仔は1950年代に香港で生まれたストリートフードで、戦後、卵がぜいたく品となり、多くの屋台業者は割れた卵を無駄にしないため、卵を小麦粉やバターなどの材料と混ぜて生地を作り、特製の型に流し込んで焼くことを始めたのが起源とされる。卵、砂糖、小麦粉、無糖練乳を用いた球状のワッフル菓子で、現在は電気プレートで焼くことが多い。

 陳さんは日本へキリスト教の宣教師として渡ることになり、その過程で日本の「子ども食堂」について知った。日本は食べることに困るような人はいないと最初は思っていたものの、移住すると格差があることも知り、食事をすることで交流が図れる場所として「子ども食堂」を日本でやろうと思い立ったという。香港ではチャリティーとして弁当スタイルの食事を配る店や人はあるものの、そこに場所やコミュニティーは生まれない。

 いざ「子ども食堂」を開こうとした際、いろいろな場所を提案されたが、いずれもコストを考えると食事代に転嫁しなければ持続できないと考え、同じ場所で飲食店して経営を安定させながら、子ども食堂を開けないかと考えたのが、「鶏蛋仔」開店のきっかけだった。

 店名の「アバディーンエッグワッフル」は、陳さんが香港のアバディーン(香港仔)出身だったからではなく、「この鶏蛋仔を焼くために『鶏蛋仔機』を購入したところ、変な翻訳がついて香港仔機になっていたことから、これは面白いと思い、そのまま名付けてしまった」と振り返る。

 メニューに抹茶、ほうじ茶がある。最初は宇治抹茶を使ったが、陳さんは佐世保に行く前に2年間、佐賀県の武雄に住んだことがあり、佐賀の嬉野茶を知っていたことから、「香りや味がさっぱりとして気に入っていた」という徳永製茶の茶を「スーツケースにいっぱい詰めて香港に持ち込んだ」という。

 フレーバーは全部で6種類。オリジナル(原味)=25香港ドル、ハニー&クリスピーチーズ(密糖脆芝士)=38香港ドル、嬉野抹茶=35香港ドル、嬉野ほうじ茶(焙茶)=35香港ドルのほか、人気のハニー&クリスピーチーズと抹茶かほうじ茶を半分ずつにした組み合わせ=42香港ドルも販売する。

 「一番人気」だというクリスピー&チーズは食感と見た目を重視し、最初に生地を型に流し込むのではなく、最初にチーズを入れる。これで色もきれいに出すことができ、その後に日本産の小麦粉と卵を使ったワッフルミックスを注ぐ。最後に上から蜂蜜をかけて完成。「甘じょっぱい」鶏蛋仔が5分ほどで出来上がる。香港の食シーンでは、「甘い」と「しょっぱい」をかけ合わせる概念がない。「この食文化は日本特有のもので、香港人は作りたてにこだわる人が多いが、日本は鶏蛋仔のもちもちしたところに注目する。冷たくなっても気にしていない」と日本人と香港人の味の感じ方の違いを挙げる。

 鶏蛋仔の販売は12時~20時。ポップアップショップは10月31日まで。

 ●=竹かんむりに月。

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