香港上海匯豊銀行(HSBC)が10月28日、Z世代についてのライフスタイルについての実態調査「HSBC One 2024-Decoding Gen Z study」を発表した。
同リポートによると、「よく遊び、よく働く」という考え方を受け入れているほか、人生を楽しみ、その瞬間を生きる傾向があることが分かった。10人中7人は「旅行」が仕事をする動機とし、投資を始めるのは20歳からで、月収の28%を貯蓄に回していることが明らかになった。
調査は、2024年6月から7月にかけて18歳から34歳の香港と粤港澳大湾区(GBA)に住む1253人を対象に行われ、香港人は18歳~27歳を対象とした。
Z世代の回答者の71%が「旅行」が仕事の主な動機だと回答したのが最も大きな特徴。「持ち家」を持つことは39%で、「家族」を持つことの34%を上回っている。さらに、61%は「不動産を購入することは非現実的またはあり得ない」と考えており、それならば、「旅行を通じて個人的な楽しみをするために仕事をする」としている。過去1年間で、Z世代は平均3回旅行し、約3万5,000香港ドル(年収の約13%)を費やした。
Z世代より上の世代は、旅行ではなく、家を買うために貯蓄をしてきたことを考えると、明確な違いが現れた。高すぎる不動産価格により家を買うことが現実的でないことが改めて浮き彫りになっている。この考え方は、彼らが中年になり自宅の購入を真剣に考えるであろう20年後の不動産市況に大きな影響を与える可能性がある。
また、日本でも外国でも「よく遊び、よく働く」という言葉があるが、Z世代は他の世代より「よく遊び、よく働く」という考えを受け入れ、今を生きることを大切にしている側面も見られる。他の世代よりも平均で10%近く娯楽に多く費やしている。
しかし、出費が多いというわけではない。毎月の貯蓄額は6,014香港ドルに達し、月収の28%に相当する。これが可能な要因の一つとして、Z世代はデジタルネーティブで、59%は日々の出費の管理などはアプリなどのツールを使っていることが背景にあると考えられる。
Z世代は他の世代よりも約8年早く、平均20歳で投資を始めている。収入の約19%を投資に費やしている。内訳は、香港ドルの定期預金が54%、香港株が30%、米国株が22%となっている。ただし、3種類以上の投資商品を購入し、分散したポートフォリオを組んでいる人はわずか18%だった。彼らの5人に1は、投資の参考にしているのはインフルエンサーや友人だという。アドバイスなどを求めている。
Z世代は、まだ年齢的に若いということもあり健康には気を使っていない。健康保険に加入しているのは25%しかいないが、35%が「ペットのための保険プランに加入する」と回答している点がユニークな点として挙げられる。
GBAにまで広げた調査を見ると、月2,750人民元、月収の約29%を貯蓄しており、給与に占める割合は香港と大差がない。GBAのZ世代は、48%が旅行を優先しているが、持ち家を持つことが第一の目標で1世代前に近い感覚も持っている。また、61%が持ち家を希望している。投資開始年齢は21歳で、34%がファンドを、18%が金をポートフォリオに組み込んでいる。
また、GBAのZ世代は将来に向けての経済的な計画を立てており、59%がファイナンシャル・プランニングを始め、19%が退職後の生活に焦点を当てている。これに対し、香港のZ世代は40%と12%でGBAの人たちとは、この点で差が現れた。