日本の老舗ウナギ卸直営のうなぎ料理専門店「うなぎ四代目菊川」が12月2日、香港・銅鑼湾の商業施設「利園1期(Lee Garden One)」(L401A, Lee Garden One, 33 Hysan Avenue, Causeway Bay)に香港1号店をオープンした。
「うなぎ四代目菊川」はパッションギークス社が、90年以上の歴史を持つウナギ卸「中庄商店」直営の飲食事業として立ち上げた。国内20店舗のほか、海外は台湾や韓国などアジアで9店舗を展開。これまで海外店舗はフランチャイズなどで出店してきたが、同ブランド30店舗目となる香港の店舗は、海外初の直営店となる。
香港での直営店出店の経緯について、中庄商店4代目で同社創業者の菊川雄平さんは「2019年に初めて香港を訪れた時から、東洋と西洋が混じる香港の文化に刺激を受けた。海外でもどこかで100%直営店を出店してみたいと思っていたが、香港への出店計画を進める中で、この場所で腰を据えてチャレンジしてみたいと思った」と話す。菊川さんは今回の出店のために香港に引っ越し、自ら店舗でウナギを焼く。
白を基調にシンプルで落ち着いた内装でまとめ、58席を設けた店内には、日本の店舗と同様にライブキッチンを配置。炭火でウナギを焼く様子や、ウナギを生きたままさばく職人の技などが客席から見えるようにした。
香港の店舗でも「日本と変わらないクオリティーを提供することにこだわった」という菊川さん。同ブランドのウナギは、産地にこだわらずその時期に最も脂ののりが良いものを選び、生きたまま仕入れ、店舗で必要な分だけをさばくのが特徴。香港でも、生きた状態のままウナギを輸送し、店内の「立場(たてば)」と呼ばれるウナギ専用貯蔵施設で保管する。「浄水した水や温度管理を徹底しウナギを立場で寝かせて泥を抜くことで、特有の臭みが取れる」と話す。注文が入るごとに一本ずつ、その場でさばいて提供する。
名物の「一本うなぎ」は、一般的に使うものよりも一回り大きいウナギを丸ごと1本、蒸さずに「地焼き」で焼き上げる。同店が独自に開発したという備長炭を使い高火力・短時間で焼き上げることで、「外側はカリッと、身はフワっとした食感に仕上がる」という。創業以来、つぎ足しで作る独自のタレや、保温性の優れた信楽焼の専用の器、ウナギ以外の食材なども、日本と同じものを使う。
メニューは、「かば焼き一本重」(385香港ドル)、「一本ひつまぶし」(398香港ドル)のほか、「うざく」(98香港ドル)や「う巻」(118香港ドル)などの一品料理、コースメニューも用意する。
同ブランドを「ウナギの世界的なブランドにすること」を目指しているという菊川さん。香港での多店舗展開も視野に入れるが、「王道のウナギ料理を日本と変わらないクオリティーで提供することで、香港の多くの人に日本のウナギ料理のおいしさを知ってほしい。そのためにまずは1号店に集中したい」と意気込む。
営業時間は、ランチ=11時30分~15時、ディナー=17時30分~21時。