
香港立法会の環境事務委員會(Panel on Environmental Affairs)は2月24日、香港政府が推進するペットボトルなどのプラスチック製飲料容器と紙パックについて議題として扱うことを明らかにした。
製造者が責任を持って回収する「塑膠飲料容器及紙包飲品盒生産者責任計劃(Producer Responsibility Scheme on Plastic Beverage Containers and Beverage Cartons)」に基づくもので、計画では6年~8年の間に4段階に分けて段階的に実施し、最終的にはプラスチック容器の回収率を75%、紙パックは50%まで引き上げることを目標にしている。回収率を高めるため、政府は市民に対して容器1つ当たり10セントのリベートを支給する考えだ。
香港は基本的に土地が少ないことから、ごみ処理施設を建設するにしても、住宅地に近いところに造らざるを得ないが、市民の反対などもあり、スムーズにいっていない。その上、長い間、ごみを分別収集するという考えもなかったことから、リサイクルへの意識を持つことは後発組で、まだ始まったばかりというのが現状である。
香港政府はごみの扱いについて危機感を持っている。2009年のプラスチックバッグの有料化を皮切りに 、何度も延期が続き実現はしていないものの、政府指定のごみ袋の使用義務化、回収環保站(Recycling Stations)の設置などを行ってきた。昨年4月にはプラスチック製品の使用制限措置も始まり、ホテルでプラスチック製歯ブラシの無償提供がなくなるなどの環境対策が組まれている。
環境保護団体グリーンピースが2月18日に発表したリポートによると、香港では毎日200トンのペットボトルが廃棄されており、1本当たり25グラムと換算すると毎日800万本のペットボトルが廃棄されている計算になるとしている。紙パックも1日当たり67トン~91トンが捨てられているとした。
今回の政府の取り組みは、飲料に利用する容器についての制限措置となる。環境保護署(Environmental Protection Department/EPD)は「生産者責任計画(Producer Responsibility Schemes)」を策定しており、それに進めて計画を進めてきた。この生産者責任計画には、レジ袋、電子機器、ガラス瓶などについても生産者がするべきことを定められている。
次の立法会では、ペットボトルや紙パックのリサイクル推進についての法制化に動くことを決めた。対象となるのは100ミリリットル~2リットルの容器が対象で、大型の小売店舗には返却用のコンテナを設置することも義務付ける。容器を製造するサプライヤーにも回収を義務付け、規制対象の飲料容器について自社でリサイクルするか、このスキームについて登録している運営者に委託することも可能。さらに回収率を上げるため、消費者やごみ清掃員を対象に容器1つあたり10セントのリベートを支給する。
回収率について政府は6年~8年かけて4段階に分けて引き上げる計画を立てている。ペットボトルは、第1段階=30%、第2段階=45%、第3段階60%、第4段階=75%。紙パックは第1段階=10%、第2段階=20%、第3段階=35%、第4段階=50%としている。
政府としては立法会での討議がうまく進めば2025年第2四半期に、これらに関連する条例である「産品環保責任條例」と「廢物處置條例」の修正案を提出し、法制化を目指すとしている。法律が通過すれば2027年から法律を運用する計画を立てている。