
日本酒の若手醸造家が集うイベント「Sake Jump Hong Kong 2025」が6月6日、尖沙咀の「FWD HOUSE 1881」で始まった。日本で毎年開催されている日本酒イベント「SAKE JUMP~若手の夜明け~」の香港版として、日本の「SAKEJUMP」と香港のThe Ruler Limitedが共催。海外での開催は初となる。イベントに先駆け、6月5日にはオープニングセレモニーが行われた。
「SAKE JUMP~若手の夜明け~」は、有志の若手醸造家たちの「垣根を越えた同世代が集まり、日本酒業界を盛り上げていこう」という思いの下、2007(平成19)年に始まった日本酒イベント。今年9月の開催で40回目を迎える。「日本酒人気の高い香港で、若者や日本酒を飲んだことがない人も、よりカジュアルに楽しむことができる新しいイベントを開きたい」との思いから、日本と香港のチームがタッグを組み企画したという。
オープニングセレモニーには、各蔵元や醸造所に加え、在香港日本国総領事館やJETRO香港からも関係者が参加、在香港日本国総領事館の西海茂洋首席領事は「香港は日本酒の国別輸出金額で3位にランクインする重要なマーケット。このようなイベントでさらに香港の日本酒文化が盛り上がることを期待したい」と挨拶した。
イベントには18の蔵元・醸造所が出展し、さまざまなタイプの日本酒を紹介。来場者は、イベント用のトークンを使った会場でのテイスティングに加え、商品の購入も可能で、普段は香港で流通していない商品などもそろえた。
2021年に世界酒蔵ランキング1位を獲得した青森県の「八戸酒造」は、代表銘柄の「陸奥八仙」に加え、弘前市の「JAアオレン」と共同開発したブランド「AOMORI JUICY LAB」のリンゴ味も用意。創業250年を超える岩手県最古の酒蔵「菊の司酒造」は、2022年の新工場設立後に発表した無ろ過生原酒「innocent」や、海外でも人気が高い「心星」などを紹介する。
近年注目を集める「クラフトサケ」の醸造所も多く出展する。クラフトサケは、日本酒製造技術をベースとしながらフルーツやハーブなどの副原料を加えた新しいジャンルの酒で、現在日本では日本酒の醸造免許の新規発行が認められていないが、クラフトサケは「その他醸造酒」として販売することができるため、新しいクラフトサケ醸造所によるユニークな酒が増えている。
東京・三軒茶屋でスタートした「WAKAZE」は、クラフトサケ醸造所の先駆け。現在はフランスに自社の酒蔵を設け、現地の原料を使った日本酒を造るほか、アメリカにも拠点を持つ。アメリカの若者の間で人気が広がり、今年から逆輸入で日本でも販売を始めた、缶入りのスパークリングSAKE「Summer Fall」などを紹介する。
目玉企画として、日本から「50 Best Discovery」にも選出されているバーのバーテンダー、若林佑一さん(Bar 若林)と村田和香菜さん(Tokyo Confidential)を招き、日本酒カクテルをパフォーマンスと共に提供する。東京・浅草の「木花之醸造所」のクラフトサケをベースに、みりんや昆布茶、抹茶などを合わせたイベントオリジナルの4種類のカクテルを用意した。
会期中、出展酒蔵に関するマスタークラスや、若手醸造家と日本酒を飲みながら交流するシェアリングセッションなどのイベントも予定する。
開催時間は、6日=14時~22時、7日=12時~22時、8日=12時~20時。今月8日まで。