香港地下鉄MTRは8月30日、週当たり600編成を増発し、9月1日から早朝割引をスタートした。
ピーク時に対する香港市民の不満や度重なる事故への対策として4月に増発した輸送強化策に続くもので、香港MTRは朝の通勤時間のピーク時に人を分散させるトライアルプログラムと位置付けている。同社は8月18日にリンカーン・リョン(Lincoln Leong)新CEOが就任したばかりで、これらの2つのプロジェクトは就任会見で述べられていた。
早朝割引の内容は、平日の朝7時15分から8時15分の間に指定の改札を出ると料金が25%引きになるというもの。対象は大人用のオクトパスカードと、マンスリーパスエクストラが対象。マンスリーパスエクストラではこれまでの25%引きに加え同プログラムも対象となるため、合計で44%の割引率となり、遠距離から香港中心部への通勤の人はより活用しやすくなる。
対象区間は香港島・港島線の太古駅~上環駅、●灣線の中環~美孚駅、東涌線の南昌駅~香港駅、觀塘線の九龍塘駅~油麻地駅、東鐵線の九龍塘駅~紅●駅の合計29駅。
区間によっては、同日に2回乗車すると割引が適用される制度も併用できる。例えば乗り継ぎで東鐵線で上水から中環まで行く場合、紅●駅を適用時間内に出て30分以内に尖沙咀から中環まで行けば、通常19香港ドルが12.6香港ドルになるという具体案も提示している。
MTRの対策に対して努力を評価する声がある一方で、「12月と6月の2度にわたる値上げへ対策にすぎない」という見方も広がり、「25%安くなるよりも睡眠時間を確保したい」という意見や「8時出勤の人は対象だけど…」という声も多く、香港人の朝の習慣、行動の変化を促すまでにはいかないと考える人も多いようだ。
同キャンペーンは2015年5月31日までを予定している。また同社では、街中23カ所に指定の駅からの乗車が1~2香港ドル安くなるフェアセイバーを置いて地下鉄乗車を促したり、長距離利用者のために指定区間での40回の乗車が400香港ドル(有効期限1カ月)になる乗車券を販売したりと、さまざまな割引制度を導入している。
(●灣=●は草かんむりに全。紅●=●は石へんに勘)