香港・中環「亜州太平洋中心」(8Wyndham Street,Central)29階「銀座いわ」に併設され、10月にリニューアルされたばかりの「美食倶楽部吉田」が17日、期間限定で栃木産品のコース「いいもの取り寄せメニュー」の提供を始めた。
同店では、神戸牛などを中心にしたアラカルトメニューのほか、日本の各都道府県のコースメニューを紹介するプロモーションを毎月実施中。栃木県那珂川水域のアユの甘露煮やレンコンチップなどの前菜から始まり、中トロや寒ブリ、カニみその甲焼きなどが続く。素材は別産地のものになるが、付け合わせのしょうゆには少し甘味もある「日光東照宮献上しょう油」を使う。牛は栃木牛、ウズラの胸肉ともも肉には安納焼き芋のピューレを。ご飯物は冷めても「味わいが変わらない」という声が多い「那須ひかり」「ゆずラーメン」など。
締めのデザートは1968年から46年連続収穫量1位に輝く「とちおとめ」を使ったシャーベットとチーズケーキなど。益子焼の器も使い、栃木産品を演出する。
コース料理は1000香港ドル、栃木の地酒とのペアリングは300香港ドル追加となる。
展開に先立ち、同県は18日、銅鑼湾の南洋酒店で商談会を開き8社50店の栃木産品を紹介した。日本全国で商品が品切れになった「ご飯にかけるギョーザ」も初めて紹介され、日本人バイヤーからその場で注文が入ったものの、香港人にとっては「XO醤(じゃん)に似ているためギョーザというよりは調味料の一つ」という声も聞かれた。同県は栃木の厳選素材に光を当てようと「万葉柚子(ゆず)協議会」を立ち上げ、協力し合って商品開発にも取り組む。今回は、「ゆず七味」「ゆずゼリー」「ゆず味噌」など9点を持ち込んだ。
香港の約6倍の面積がある同県は600カ所に及ぶ温泉があり、日光、鬼怒川、那須、宇都宮など各地特色のある観光地やグルメがある。しかし栃木県農産物は震災以降、現在でも香港への輸入禁止措置が取られたままだ。同レストラン料理長の吉田さんは「最初に栃木からのカタログを見たときはどのようなコースメニューを作ることができるか不安だった。しかし、実際サンプルを目の前にすると、メーンにはならなくても脇役として味を引きたてるもののレベルが高く考えやすかった」と振り返る。
特別メニューは12月22日まで。ディナー時のみの提供。
営業時間は、ランチ=12時~15時、ディナー=18時30分~23時。