香港のテレビ局「香港電視網絡(HKTV)」、紆余曲折を経て放送開始へ

HKTVのロゴ

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 電視広播(TVB)と亜洲電視(ATV)に続く無料テレビ放送をめぐり、免許申請をしたものの交付されなかった香港電視網絡(HKTV)が11月19日、スマートフォン、タブレットなどを使ったデジタル端末向け放送を始めた。

開局のプロモーション映像や看板などが見られる香港

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 香港は現在2局4チャンネルの無料放送が行われており、香港政府はその拡大方針を発表。有料放送を行っている有線電視(i Cable Communications)傘下の奇妙電視、Nowを放送している電訊盈科(PCCW)傘下企業、香港電視娯楽、HKTVの3社がライセンス取得の申し込みをしていた。約40年ぶりの新規交付で1局あたり2チャンネル放送されることから香港市民の関心が高かったが、結果、香港政府は2013年10月15日、奇妙と香港電視にライセンスを与えたもののHKTVには与えなかった。

 3社の中ですでに試験放送をするなどしていたのはHKTVのみで、同局を率いる王維基は政府高官からの勧めで準備を進めたともうわさされており、本命がはしごを外される形になった。香港政府は理由を明らかにしなかったが、王氏は「国営の中国中央テレビ(CCTV)のようにはなりたくない」など報道の自由について発言していたことから、香港政府が中国政府に配慮したからではないかという見方が出ていた。

 最終的に、商務及経済発展局は声明を発表し、5社体制では過当競争に陥って存続が困難になるというコンサルタントの報告、財務能力、技術レベル、制作能力、番組戦略などについてライセンスの交付を受けた2社がHKTVを上回ると判断したためと発表。HKTVもそれに反論したほか、立法会議員などからも疑問は晴れていないとの声が上がったうえ、政府庁舎前でのデモも行われた。

 王氏は放送を断念せず別の道を模索し、モバイル端末の利用を中心とした放送の準備に着手。中国移動通信系で携帯端末向けのテレビ放送ライセンスと周波数をもつ会社を買収。こちらも法律に抵触する可能性があると政府から指摘されるなどの事態となったが開局にこぎつけた。

 視聴は簡単で、スマートフォンであればアンドロイド、iOSはアプリをダウンロードするだけ。市販されている“アンドロイドTVボックス”をHDMIでテレビにつなげれば部屋にあるテレビでも視聴できる。パソコンでも申し込みをすれば鑑賞できる。24時間放送で曜日にもよるが19:00以降のゴールデンタイムは新規の放送を、それ以外は再放送となる。ショッピングチャンネル、日本のアニメも放送されるほか、同局製作のオリジナルドラマが数多く製作される。選挙を題材にしたドラマ「選戦」は今の香港の時事に沿った内容の番組があることでも話題だ。

 香港ではテレビ局が俳優と独占出演契約して囲い込みを行うことが多いが、同局は香港のアカデミー賞、金像奨に2度輝いた廖啓智、カンフー映画には欠かせなかった「七小福」の1人、元華、映画『天水圍的日與夜』で香港や中国の映画賞で主演女優賞を数多く受賞した鮑起靜、マレーシアの女優で香港映画のみならず台湾、韓国、中国、シンガポールなどアジアをまたにかけて映画に出演する李心潔もドラマに起用。総勢220人の芸能人と契約した。

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