香港デモの強制排除、きっかけはミニバス会社「潮聯」-その背景は?

強制排除についての文章を読み上げる弁護士

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 真の普通選挙を求めるデモ隊の道路占拠活動も2カ月を超え、警察とデモ隊の衝突が何度もあったが、11月25日・26日に行われた旺角での強制排除はあるミニバス会社が司法に訴えたことで大きく動いた。裁判所に道路の封鎖は違法だと訴えたのはミニバス運営会社「潮聯公共小型巴士」。

車線を占領した潮聯のミニバス

 香港のミニバスは席数16のマイクロバスを使い、2階建ての大型バスでは走れない道を中心に運行されている。緑と赤の2種類の屋根があり、緑のバスは停留所、料金などが完全に政府管轄下に置かれているが赤いバスはそれよりも緩やかで、駐停車禁止エリア以外ではどこでも下車できる。運賃も基本的に自由に設定でき、このデモで一時2倍の運賃になった路線もあった。企業経営もあれば個人で運営しているのもある。香港全体には約4350台の赤いミニバスがあるが、約25%は香港三大マフィアの一つ「新義安」の支配下に置かれていると言われている。

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 1919年に設立された新義安の全構成員は2万人を超えるといわれ、東南アジア、ヨーロッパでも暗躍している。彼らは広東省東部の潮州市、汕頭市などがルーツの潮州人。アジア一の大富豪、李嘉誠、香港の人気大物歌手である鄭秀文も潮州系である。売春、麻薬、賭博のほか、映画などのエンターテインメント業界にも進出している。「新義安は潮州系のマフィアで、訴えたバス会社名が“潮”がつく潮聯。そして場所は旺角。香港人は口や表には出さなくても、潮聯がマフィアとつながっていることはすぐ分かる」と香港人メディア関係者は語る。

 潮聯は1968年に創立され、バス約100台、運転手300人超を抱える最大の赤いミニバス会社の一つ。点在するミニバス会社を代表して政府と交渉することもある。旺角-観塘、旺角-土瓜湾など数路線を運営するが、占拠の舞台となった弥敦道周辺の道路を通過する路線は少ない。弥敦道と交差する亜皆老街も一部が占領された結果、渋滞となり何度も往復することで売り上げを上げるミニバスとしては減収要因となってしまった。しかし、弥敦道や亜皆老街を通過する2階建てバスは路線変更を余儀なくされたため、ミニバスに切り替えざる得なかった乗客もあり、これは増収要因となった。では、減収を理由になぜ訴えたのかというと、ミニバスのオフィシャルのオペレーターが反デモ支持者であり、潮聯がそれに従ったようだ。

 潮聯は裁判所に訴え、占領は違法という判決を受け取り、警察の力を借りて旺角の占領地区の強制排除に成功したが、今度は排除された側が黙っていなかった。潮聯は旺角から観塘などに向かう路線の出発地点である通菜街の4車線のうち3車線を10年以上にわたり“占領”していたことから、「違法駐車ではないか」として500人がバスを取り囲み、警察にもダブルスタンダードと非難する状況になった。ただデモは金鐘に集中し、旺角は普通の街へと戻りつつある。そして金鐘は11日に強制執行されると報道されている。

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