香港青年協会(The Hong Kong Federation of Youth Groups)は佐敦の上海街28号(28 Shanghai Street, Jordan)にある空き店舗を月1ドルで貸し出すことを明らかにした。
18歳から35歳の香港生まれのパーマネントビザホルダーが対象(香港で生まれ、日本国籍など外国籍を選択した人は可能。7年連続で在住しパーマネントビザを取得した人は不可)。3月16日までに事業計画を提出し、その中から選ばれる。
場所は彌敦道(Nathan Road)の西側にある上海街。油麻地(Yaumatei)まで行けば業務用の台所用品が売られている店がずらりと並ぶ通りとして有名だ。同協会のスーパーバイザー、ゲーリー・タンさんは「すでに300件以上の問い合わせがあった。アナウンスしたばかりにもかかわらず、すでに1つ事業計画の提出も受けている」と語る。申請数はこれから増えていくものと見られている。青年協会では申請に当たり、詳細な事業計画とファイナンシャルの計画の提出を求めているという。
店舗の大きさは700平方フィートで2年契約、契約成立後1年以内に開業することが条件。誰が1ドルショップを運営する資格を得るのかは4月末に発表される予定だ。市場価格では3万から3万5,000ドルといわれており、1ドルという破格の値段は資金面での最も大きな負担が無くなる。1ドルショップの経緯についてタン・スーパーバイザーは「オーナーは縫製関係に従事している60代の方で、佐敦に2軒、別の店を構えている。香港は家賃が高く起業しにくいことから、青年実業家を助けたいということで私たちに連絡を取ってきた」と明かす。オーナーはレストラン、カフェなど食品業界に関連しているものを希望しているという。
香港では食品業界の競争が厳しく、上海街は人の多さという意味では理想的とはいえない。また、経験がなければ、家賃が1ドルとはいえ成功する保証はない。「近くには3、4軒のレストランがあり、ビジネスを始めるには十分な所と考えている。ただ、彼らには実際どうやって運営していくのかというノウハウがない。われわれはそういう人たちための指導者がいるので、経営面でのサポートもしていくつもり」とバックアップを行う予定だ。
香港の各大手メディアもこのことを報道。それを受けて、香港青年協会の元には「非公式ながら別の方から2、3件の似たような条件のオファーをもらった。詳細が決まり次第、発表できるかと思う」とタン・スーパーバイザー。世界でも屈指の家賃の高さを誇る香港で、こうした新しいスキームの流れが生まれたことは、若手企業家には朗報といえそうだ。